ストレスチェック助成金は、50人未満の労働者を雇用する事業所で、ストレスチェックや医師による面接指導を行った場合に助成される助成金です。ストレスチェックの内容から助成金の支給額、申請に必要な書類まで、詳しく紹介します。
目次
ストレスチェック助成金は、50人未満の事業場のストレスチェックを支援
仕事をする中で、強い心理的負荷を受け、精神障害を発病している労働者は、右肩上がりで増えています。厚生労働省がまとめた過労死等防止対策白書によると、精神障害による労災の請求件数は、2017年度で1732件と、10年前の2007年度から約2倍になっています。
こうした状況を改善するため、2015年12月に、改正労働安全衛生法が施行されました。これにより、常時50名以上の労働者を雇用する事業所があれば、その事業所を所有する事業主はストレスチェックと面接指導が義務付けられました。
また、50名未満の労働者を雇用する事業所であっても、事業主は努力義務があり、実施に努めなければなりません。
労働者健康安全機構では、50名未満の労働者を雇用する事業所のストレスチェックを促進するために、ストレスチェック助成金を提供しています。
ストレスチェック助成金の支給額は2つの取り組みに支給される
ストレスチェック助成金で支給対象となる取り組みと支給額は、次の通りです。
- ストレスチェックの実施
従業員につき500円が支給されます。従業員の上限はありません。 - ストレスチェックに係る医師による活動
1事業場あたり1回の活動につき21,500円(上限3回)
ストレスチェックは、ストレスに関する選択式の質問に労働者が回答することで、ストレスの度合いを調査するものです。医師などのストレスチェック実施者が結果を評価し、高ストレスで医師の面接指導が必要な労働者を選び、労働者が希望する場合には面接指導を実施します。
また、労働者のストレスの状況を把握することで、事業主は業務の負担を調整し、うつなどのメンタルヘルス不調を未然に防止することができます。
ストレスチェック助成金の支給対象になる事業主の条件は5項目
ストレスチェック助成金の支給対象となる事業主の条件は、次の5項目を満たすことです。
- 労働保険の適用事業場であること
- 常時使用する従業員が派遣労働者を含めて50人未満であること
- ストレスチェックの実施者が決まっていること
- 事業者が医師と契約し、ストレスチェックに係る医師による活動の全部又は一部を行わせること
- ストレスチェックの実施及び面接指導等を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること
ストレスチェック助成金が支給されるまでのステップは5つ
ストレスチェック助成金の受給までのステップは次の5つのステップです。
ストレスチェック助成金の実施期間の締め切りは2020年3月31日まで
支給対象となるストレスチェックの実施期間は、2019年4月1日から2020年3月31日までです。期間内にストレスチェックを終えられるよう、早めに準備を始めましょう。
ストレスチェック助成金の申請期間の締め切りは2020年6月30日まで
支給申請の締め切りは、ストレスチェックの実施後6カ月以内で、2019年5月24日から2020年6月30日までです。郵送での支給申請は、当日消印は有効です。ただし、申請期間中でも助成金支給申請の受付を終了することがあるので、早めに申請をしましょう。
ストレスチェック助成金の支給申請に必要な書類は、事業場ごとの申請か本社一括の申請かで異なる
ストレスチェック助成金の支給申請に必要な書類は、事業場ごとの申請か本社一括の申請かで異なります。まずは、事業場ごとの申請に必要な書類から紹介します。
事業場ごとの支給申請で必要な書類は13種類
事業場ごとの支給申請に必要な書類は、次の13種類です。
- ストレスチェック助成金支給申請書
- 医師との契約書
- 医師であることを証明する書類(医師免許証など)
- 労働保険概算・確定保険料申告書など
- 労働保険料一括納付に係る証明書(該当事業場のみ)
- ストレスチェック実施者の要件を備えていることを証明する書類(該当者のみ)
- ストレスチェック実施報告書
- ストレスチェック実施者へ支払った費用の領収書
- ストレスチェックに係る医師による活動報告書(該当事業場のみ)
- 医師へ支払った費用の領収書(該当事業場のみ)
- 振込先の通帳など(振込先の名義(フリガナが記載されたもの)、支店名、口座番号が確認できるもの。口座名義が請求者と別会社の場合は受付できない)
- ストレスチェック助成金支給申請チェックリスト兼同意書
- 事業場宛ての返信用封筒(切手貼付)
本社一括契約分の支給申請で必要な書類も13種類
本社一括契約分の支給申請で必要な書類は、次の13種類です。
- ストレスチェック助成金支給申請書(本社等一括契約)
- 医師との契約書
- 医師であることを証明する書類(医師免許証など)
- 労働保険概算・確定保険料申告書等
- 労働保険料一括納付に係る証明書(該当事業場のみ)
- ストレスチェック実施者の要件を備えていることを証明する書類(該当者のみ)
- ストレスチェック実施報告書(本社等一括契約)
- ストレスチェック実施者へ支払った費用の領収書
- ストレスチェックに係る医師による活動報告書
- 医師へ支払った費用の領収書(該当事業場のみ)
- 振込先の通帳など(振込先の名義(フリガナが記載されたもの)、支店名、口座番号が確認できるもの。事業場ごとに助成金振込口座が異なる場合は一括申請できない。また、口座名義が請求者と別会社の場合は受付できない)
- ストレスチェック助成金支給申請チェックリスト兼同意書
- 事業場宛ての返信用封筒(切手貼付)
ストレスチェック助成金を活用する上で、押さえておきたい2つのポイント
ストレスチェック助成金を活用する上で、押さえておきたい2つのポイントを紹介します。
ストレスチェックのみの実施で申請可能な場合がある
ストレスチェック助成金を申請するにあたって、面接指導などを担当する医師と契約する必要があるため、当初からストレスチェックのみを予定して助成金を申請することはできません。
しかし、医師と契約した上でストレスチェックを行った結果、面接指導の対象者がいなかった場合など、結果としてストレスチェックのみ実施することになった場合は、申請が可能です。
インターネットで受けられるメンタルヘルスチェックでも申請可能な場合がある
ストレスチェックにおいては、結果を集計して表示するだけではなく、医師などのストレスチェック実施者が結果を判断し面接指導が必要かどうかを判断する必要があります。
厚労省が運営する「こころの耳」などインターネットでストレスチェックをできるサイトでチェックを受けるだけでは要件を満たしたとは言えません。ただし、医師などのストレスチェック実施者を置いたうえで、チェックの実施をITシステムを利用してオンラインで実施することは可能です。
まとめ
ストレスチェック助成金の活用に取り組むことで、ストレスチェックにより労働者のストレス度合を把握することができ、メンタルヘルスの不調を防ぐだけでなく、休職や退職の防止にもつながります。労働者にとっても、事業主にとってもメリットのあるストレスチェック助成金を活用しない手はありません。
助成金を申請する際には、書類の記入内容をナビゲーションすることで、ストレスなく書類を作成できる助成金クラウドをご利用しては、いかがでしょうか。
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