助成金ノウハウ情報

助成金の不正受給が発覚する理由とは? 4つのペナルティも紹介

助成金を受給するために、申請内容を偽って、不正に受給しようという事業者が後を絶ちません。また、故意ではなくても、不正受給と認定されてしまうことがあります。そこで、厚生労働省が不正受給と認定する条件や、認定された場合のペナルティを紹介します。

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不正受給とは

厚生労働省は、助成金の不正受給を次のように定義しています。「偽りその他の不正行為により、本来受けることのできない助成金の支給を受け、または受けようとした場合」です。もともと存在しなかった書類や、実態とは違う書類を作成して提出し、助成金を受けようとすることは、不正受給と認定されます。

厚生労働省の定義では、「受けようとした場合」ともあるので、実際に助成金を受給しなくても、申請するだけで不正受給と認定されます。

不正受給に認定された場合の4つのペナルティ

助成金の不正受給と認定されると、どのようなペナルティがあるのでしょうか。主に4つのペナルティがあり、費用だけでなく、社会的な信用も失うことになります。

ペナルティ1
助成金の返還を求められる

助成金の不正受給と認知された場合、次の金額が請求されます。

  • 不正受給により返還を求められた金額
  • 不正受給の日の翌日から納付の日まで、年5%の割合で算定した延滞金
  • 不正受給により返還を求められた額の20%に相当する額

ペナルティ2
事業所名が公開される

事業主の名称、代表者氏名、事業所の名称・所在地、概要、不正受給の金額・内容が、事業所のある労働局のホームページで公表されます。そうなれば、社会的な信用を失うことになりますし、取引先に知られた場合は、以降の取引に支障がきたすことも考えられます。

ペナルティ3
最低でも5年間は助成金の申請ができない

不正受給と認定されれば、支給前の場合であっても支給後であっても、不支給決定日または支給決定取消日から起算して5年間は、雇用に関係する助成金は支給されなくなります。

ペナルティ4
刑事告発もあり得る

不正受給の内容によっては、不正に助成金を受給した事業者が告発されます。書類を偽造した場合は、詐欺罪(刑法第246条)となります。厚生労働省の発表によると、詐欺罪で懲役1年6カ月の判決を受けたケースも紹介されています。この後に紹介するのは、不正受給によって書類送検されたり、実刑判決が言い渡された実例です。

刑事告発の事例1

企業内の非正規雇用者の人材育成などに取り組んだ事業主を助成する、厚生労働省の「キャリアアップ助成金」を不正に受け取ろうとしたとして、京都府警向日町署が8日、詐欺未遂、有印私文書偽造・行使の疑いで、同府向日市の40代の行政書士の男を書類送検したことが、同署などへの取材で分かった。男は容疑を認めている。書類送検容疑は、昨年5月、男が府内で経営する飲食店の元従業員の男性たち2人に、職業訓練をしたとする虚偽の申請書を京都労働局に申請し、2人分の助成金計約90万円をだまし取ろうとしたとしている。

 

刑事告発の事例2

中小企業向けの国の助成金をだまし取ったとして、詐欺などの罪に問われた太陽光発電システム販売会社の実質経営者(52)に対し、東京地裁は14日、懲役2年8カ月(求刑懲役4年6カ月)の実刑判決を言い渡した。法人税法違反の罪に問われた同社には罰金2800万円(求刑罰金3600万円)を命じた。裁判官は「組織的、計画的な犯行で悪質性が高く、実刑はやむを得ない」と述べた。被告は「中小企業緊急雇用安定助成金」(当時)の受給要件を満たしていないのに東京労働局に虚偽の申請をし、約4700万円をだまし取った。また、架空の業務委託手数料を計上するなどして、法人税約1億1900万円を脱税した。

 

悪質な代行業者に注意

社会保険労務士などが助成金を代理申請したとしても、助成金の不正受給となった場合は、事業者にペナルティが課せられます。厚生労働省は、「助成金の受給手続きにくわしい、より有利(高額)な助成金を受けられる方法を知っている」と主張する一部の経営コンサルタントなどが、助成金の申請に関して、事業主に不正受給に当たる助言をする例が発生しているため、誤ったアドバイスに従わないように注意喚起を行っています。

助成金の不正受給が発覚する4つの理由

「助成金の申請内容を偽っても、多くの申請の中から見つけ出せるわけがない」と、安易な考えで助成金を申請するのは避けましょう。助成金を申請する書類の審査は、時間をかけて厳格に行われているからです。また、書類の審査以外にも、不正受給を明らかにする仕組みを整えています。

不正受給が発覚する理由1
職員が厳密な書類チェックを行っている

キャリアアップ助成金の正社員化コースでは、正社員で働いている社員を契約社員と偽り、正社員化したかのように見せかけて、助成金を不正に受給しようとするケースが見られます。この場合、都道府県の労働局は、就業規則で正社員にしか支給されないはずの手当が支払われていないか、定期昇給の対象になっていないかといった矛盾を調査します。

また、人材育成コースの審査では、訓練を行った社員の日誌と、出勤を照合します。例えば、訓練日誌に訓練の内容が書かれていた日が、出勤簿では有給休暇になっていないかといった矛盾を調査します。

不正受給が発覚する理由2
労働局の審査官や監査官が抜き打ち調査を行っている

都道府県の労働局では、助成金を支給した事業者の実地調査も行っています。調査では出勤簿、賃金台帳等、支給要件の確認に必要な書類をチェックしています。

不正受給が発覚する理由3
従業員にヒアリングしている

実地調査では、聞き取り調査も行っています。聞き取り調査は、事業主だけでなく、社員も対象になっています。すでに雇用している従業員に、ハローワークからの紹介状を交付してもらうよう指示したり、応募者の面接を行い、採用内定をしているにもかかわらず、ハローワークからの紹介状を交付してもらうよう指示して助成金を申請しても、社員への聞き取り調査で不正が明らかになります。

不正受給が発覚する理由4
メールで内部告発ができる仕組みがある

労働局のホームページには、不正受給を告発するための専用投稿フォームが用意されています。匿名で告発できるため、多くの告発が寄せられる労働局もあるようです。

不正受給していたかも、と気づいた時はすぐに申請すること

助成金の申請書類の内容に誤りがったと気づいた場合は、すぐに労働局へ申し出ましょう。意図的でなければ、支給された助成金を返金するだけで済みます。

まとめ

助成金を不正受給したとしても、労働局の調査や内部告発によって、必ず明らかになります。不正受給によって、会社の信用を失い、経営に深刻な影響を及ぼすことにもなりかねません。言うまでもありませんが、助成金の不正受給は、行うべきではありません。もし、経営コンサルタントから話を持ち掛けられても、きっぱりと断りましょう。また、受給条件をクリアしているかどうか、今一度自分の目で確認しましょう。

「助成金の受給要件とは? すべての事業主がクリアすべき3つの条件」を詳しく見る

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