助成金ノウハウ情報

助成金の受給要件とは? すべての事業主がクリアすべき3つの条件

助成金を受給するために、どの事業主でも必ずクリアしなければならない受給条件があります。申請を検討している方は、まず受給条件をクリアしているかどうか、確認しましょう。また、助成金によっては、独自の受給条件を設けている場合があります。どのような受給条件があるのかも、併せて紹介します。

助成金を受給するために3つの共通要件とは

厚生労働省が支給する雇用に関係する助成金には、共通要件が定められています。共通要件とは、どの助成金を受給のするためにも、必ずクリアしなければならない共通の条件です。

雇用保険適用事業所の事業主であること

助成金の財源は、事業主が納めている雇用保険です。そのため、助成金が受給できる事業主は、雇用保険を納めている事業主であることが条件で、受給した助成金は返済不要です。雇用保険は、次の条件に当てはまる労働者を雇用していれば、加入しなければなりません。

  • 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。具体的な条件は、次の4項目です。
    • 期間の定めがなく雇用される場合
    • 雇用期間が31日以上である場合
    • 雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
    • 雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること。

この条件から分かるように、正社員だけでなく、パートやアルバイトであっても雇用保険に加入が必要な場合があるので、今一度条件を確認しましょう。

「助成金の申請に必要な要件、雇用保険とは? 要件に含まれるわけは?」を詳しく見る

申請期間中に申請を行うこと

助成金によっては、申請に期限がある場合があります。当然ですが、申請期限を1日でも過ぎると、申し込んだところで、受理されることはありません。

助成金の申請は、2018年10月1日より郵送でも受け付けるようになりましたが、申請期限を確認した上で、余裕をもって郵送しましょう。なお、助成金によって、申請窓口が異なります。申請期限と併せて、申請窓口の確認しましょう。

支給のための審査に協力すること

助成金を申請した後、支給する事業主としてふさわしいかどうか、管轄の労働局が申請した内容をもとに審査する場合があります。助成金を受給する条件として、労働局の審査に協力することも含まれています。協力が必要な項目は、以下の3つです。

  • 支給または不支給の決定のための審査に必要な書類を整備、保管すること
  • 支給または不支給の決定のための審査に必要な書類の提出を求められた場合に応じること
  • 労働局の実地調査に応じること

実地調査では、申請書と一緒に提出された、審査に必要な書類が原本と同じ内容かどうかも調査されます。助成金を受給するためだけに、書類を整えても明らかになるので、普段から整えておきましょう。それでは、審査に必要な書類とは何でしょうか。

助成金の審査に必要な書類1
労働者名簿はアルバイトやパートも記入

助成金の審査に必要で、申請後に整備、保管しなければならない書類は3つあります。いわゆる法定三帳簿と呼ばれるものです。そのうちの1つが労働者名簿で、アルバイトやパートも含めた名簿です。労働基準法第107条に定められている通り、各事業所ごとに次の項目を記入する必要があります。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 履歴(履歴書に記載されている履歴や、職務上の履歴)
  • 性別
  • 住所
  • 従事する業務の種類
  • 雇入の年月日
  • 退職の年月日及びその事由(退職の事由が解雇の場合にあってはその理由を含む)
  • 死亡の年月日及びその原因

なお、従業員が30人未満の事業場の場合、6の従事する業務の種類の記入は不要です。

審査に必要な書類2
出勤簿は様々な記録方法が認められている

法定三帳簿のもうひとつが、タイムカードなどの出勤簿です。労働基準法第109条で定められている通り、誰がどれだけ働いたのか、正確にわかるように情報を記入しておく必要があります。そのために、下記の項目の記入が求められます。

  • 氏名
  • 出勤日
  • 始業・終業時刻
  • 休憩時間

出勤簿として認められるのは、事業主が始業・就業時間を記録したもの、タイムカードなどで記録したもの、残業命令書や報告書、労働者が始業・就業時間を記録したものです。

「助成金の申請に勤怠管理が欠かせない理由とは?」を詳しく見る

審査に必要な書類3
賃金台帳は労働時間の記入も必要

法定三帳簿の最後のひとつが、賃金台帳です。労働基準法第108条で定めている通り、事業場ごとに賃金台帳を作成し、賃金を支払うたびに、賃金の額や賃金計算の基礎になる事項を記入する必要があります。記入する項目は下記の8項目です。

  • 氏名
  • 性別
  • 賃金計算期間
  • 労働日数
  • 労働時間数
  • 時間外労働、休日労働および深夜労働の時間数
  • 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額
  • 労使協定により賃金の一部を控除した場合はその金額

労働者名簿、出勤簿、賃金台帳の法定三帳簿は、3年間の保存が義務付けられています。助成金の申請のためだけでなく、労働基準法を守る上でも、しっかり管理しましょう。

中小企業だけを対象にしている助成金もある

助成金の支給金額は、中小企業か、それ以外の大企業かで異なるものがほとんどです。中には、中小企業だけが受給できる助成金もあります。

育児休業が取りやすい、職場へ復帰しやすい環境づくりに取り組む中小企業を支援する両立支援助成金(育児休業等支援コース)や、労働時間を改善するために、生活時間や睡眠時間の確保に取り組む中小企業を支援する働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)などがあります。

なお、助成金の支給対象となる中小企業の条件は次の表にある通りです。

産業分類 資本金の額・出資 の総額 常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 50人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

 

「両立支援等助成金(育児休業等支援コース)は職場復帰支援でも支給される助成金」を詳しく見る

「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバール導入コース)は、休息時間の確保で支給される助成金」を詳しく見る

まとめ

このほかにも、助成金の受給条件は、助成金ごとに様々なものがあります。生産性要件を満たしてること、ほかの助成金を受給していることが条件の場合があれば、建設業や介護・福祉業など、特定の業種に限定した助成金もあります。

また、障害者の採用や雇用に関連する助成金は、助成金ごとに受給条件が異なります。活用できそうな助成金を見つけたら、まずは受給の条件を確認しましょう。

「【2019年度最新】助成金の種類を目的別に一覧で紹介」を詳しく見る

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