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キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)は労働時間延長で受給できる助成金

キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)は、有期雇用の労働者の労働時間を延長し、社会保険を適用することで受給できる助成金です。短時間労働者労働時間延長コースを受給するための詳しい要件や、申請方法に加えて、申請前に確認するポイントについても紹介します。

キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)は延長する労働時間によって条件が変わる

キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)は、有期雇用の労働者の週所定労働時間を延長する時間によって、支給条件や支給金額が変わります。変わる条件は、延長する労働時間が5時間以上か、5時間未満かです。

延長時間が週5時間以上の場合は、新たに社会保険を適用することで受給できる

短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し、新たに社会保険に適用した場合、中小企業であれば、1人当たり22万5000円が支給されます。

延長時間が週5時間以上の場合の支給額
中小企業 中小企業以外
通常の場合 生産性向上が認められる場合 通常の場合 生産性向上が認められる場合
1人あたり 225,000円 284,000円 169,000円 213,000円

 

延長時間が週5時間未満の場合は、2つの条件をクリアする必要がある

週所定労働時間の延長時間が5時間未満の場合は、労働時間の延長と社会保険への加入以外に、2つの条件を満たす必要があります。

1つ目は、労働者の手取り収入が減少しないように延長時間に応じて基本給を昇給することです。

2つ目は、キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)に加えて、キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)か、キャリアアップ助成金(選択的適用拡大導入時処遇改善コース)を実施することです。

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)は、すべてまたは一部の有期雇用の労働者等の基本給の賃金規定等を増額改定し、昇給した場合に支給される助成金です。また、キャリアアップ助成金(選択的適用拡大導入時処遇改善コース)は、有期雇用の労働者を新たに社会保険に加入し、基本給を増額した場合に支給される助成金です。支給される金額は、中小企業であれば1人当たり最大18万円が支給されます。

なお、2020年度末までの期間限定で、延長する労働時間が1時間以上5時間未満で、労働者の手取り賃金が減少しない取り組みを行った場合も助成対象となります。この場合の支給額の上乗せは22万5000円、支給申請の上限人数は45人です。

延長時間が週5時間未満の場合の支給額
中小企業 中小企業以外
1人あたり 通常の場合 生産性向上が認められる場合 通常の場合 生産性向上が認められる場合
1時間以上
2時間未満
45,000円 57,000円 34,000円 43,000円
2時間以上
3時間未満
90,000円 114,000円 68,000円 86,000円
3時間以上
4時間未満
135,000円 170,000円 101,000円 128,000円
4時間以上
5時間未満
180,000円 227,000円 135,000円 170,000円

 

キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)の対象になる労働者・事業主の条件とは

キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)を受給するためには、労働者や事業主それぞれの条件を満たす必要があります。

支給対象になる労働者の条件は5項目

支給対象になる労働者は、次の1から5の条件を満たす必要があります。また、支給対象となる労働者の人数は、5時間以上、5時間未満両方の条件を合わせて、1年度1事業所当たり45人までという制限があります。

  • 支給対象事業主に雇用される有期雇用の労働者などであること
  • 週5時間以上所定労働時間が延長されたもの、あるいは5時間未満延長され昇給したもの
  • 週所定労働時間を延長した日の前日から起算して過去6カ月間、社会保険の適用要件を満たしていなかった者であること
  • 週所定労働時間の延長を行った事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること
  • 支給申請日において離職していない者であること

支給対象になる事業主の条件は5項目

支給対象となる事業主は、次の1から5の項目に当てはまる必要があります。

  • 雇用する有期雇用の労働者などについて、週所定労働時間を5時間以上延長または労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長し、新たに社会保険に適用させることに加えて、キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)かキャリアアップ助成金(選択的適用拡大導入時処遇改善コース)を実施した事業主であること。
  • 上記1により週所定労働時間を延長し、新たに社会保険の被保険者となった労働者を、延長後6カ月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して延長後の処遇適用後6カ月分2の賃金を支給した事業主であること。
  • 上記1により週所定労働時間を延長した日以降の全ての期間について、当該労働者を雇用保険および社会保険の被保険者として適用させている事業主であること。
  • 上記1により週所定労働時間を延長した際に、週所定労働時間および社会保険加入状況を明確にした雇用契約書等を作成および交付している事業主であること。
  • 生産性要件を満たした場合の支給額の適用を受ける場合にあっては、当該生産性要件を満たした事業主であること。

また、5つの項目の他に、雇用関係助成金の共通要件も満たしている必要があります。

キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)を受給するまでの5つのステップ

キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)の申請で注意すべきポイントは、受給申請の前にキャリアアップ計画書を労働局に提出しなければならないことです。また、支給を申請するタイミングは、週所定労働時間を延長し、6カ月分の賃金を支給してから2カ月以内になります。

キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)

キャリアアップ助成金(選択的適用拡大導入時処遇改善コース)に取り組む前に提出が必要なキャリアアップ計画

キャリアアップ計画とは、有期雇用の労働者などのキャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるために作成するものです。キャリアアップ計画の作成にあたって、労働者のキャリアアップを支援するキャリアアップ管理者を決めて、3年以上5年以内の計画期間を定め、目標や期間、目標を達成するために事業主が行う取り組みを記載します。計画内容は精査されるので、綿密な計画と、具体的な訓練の記載がポイントになります。

キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)の支給申請に必要な書類は11種類

助成金を支給してもらうには、労働時間の延長や昇給などを行って、継続して6カ月が経過した日から2カ月以内に支給申請が必要です。この際、次の11種類の書類が必要となります。

  • 支給要件確認申立書
  • 支払方法・受取人住所届
  • 管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画書
  • 対象労働者の週所定労働時間の延長前および延長後の雇用契約書等
  • 対象労働者の労働基準法第108条に定める賃金台帳または船員法第58条の2に定める報酬支払簿
  • 対象労働者の出勤簿等(労働時間の明記されているものに限る)
  • 中小企業事業主である場合、中小企業事業主であることを確認できる書類
  • 生産性要件を満たす場合、生産性要件に係る支給申請の場合の添付書類
    生産性要件算定シートおよび算定の根拠となる証拠書類(損益計算書、総勘定元帳、確定申告書Bの青色申告決算書や収支内訳書など)
  • 他のコースを合わせて申請している場合、キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)内訳かキャリアアップ助成金(選択的適用拡大導入時処遇改善コース)内訳
  • 該当する場合のみ特定適用事業所該当通知書
    ※公的年金制度の財政基盤および最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律附則第17条に規定する特定適用事業所に通知されるもの
  • 該当する場合のみ任意特定適用事業所該当通知書
    ※公的年金制度の財政基盤および最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律附則第17条第5項の申出をした事業所に交付されるもの

キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)の申請前に確認すべき2つのポイント

キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)を確実に受給するためにも、申請前に2つのポイントを確認しておきましょう。

労働時間を延長しても、支給対象にならないケースがある

キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)は、社会保険への加入義務が生じていない労働者を対象にし、社会保険の加入促進を目的としています。そのため、すでに社会保険への加入義務が生じている労働者の労働時間を延長しても、助成金の支給対象にはなりません。

社会保険の任意適用事業所でも、加入する必要がある

キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)の目的にあるように、対象となる労働者を社会保険に適用させることが支給の条件です。そのため、社会保険の任意適用事業所であっても、社会保険への適用・加入が必要です。

まとめ

キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)では、パートやアルバイトなど、短時間有期雇用労働者の労働時間を延長することで、助成金がもらえます。

社会保険の扶養の関係で、労働時間を調整しているパートやアルバイトの方は、昇給することで調整せず働いてもらうこともでき、事業主にとって人手不足の解消につながるというメリットもあるので、キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長コース)を積極的に活用してはいかがでしょうか。

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