助成金ノウハウ情報

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)は5つの制度から取り組みを選べる

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)は、離職率を下げる制度を導入・実施して、離職率を目標の数値まで下げることができた事業主に支給される助成金です。支給対象にあんる離職率を下げる制度は5つあります。この5つの制度と併せて、支給額や申請に必要な書類とポイントを紹介します。

目次

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)は離職率の低下で受給できる助成金

人材不足を解消するために、事業主は雇用管理の改善などを行うことで、「魅力ある職場」を提供し、労働者の定着率を高めることが重要です。人材確保等支援助成金は、離職率を下げる取り組みを行う事業主を支援する助成金です。

雇用管理制度で離職率を下げる



人材確保等支援助成金の中でも、雇用管理制度助成コースは、事業主が新たに離職率を下げる雇用管理制度を導入・実施し、離職率の低下を実現できた事業主に助成金が支給されます。雇用管理制度は、後ほど詳しく紹介しますが、評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間正社員制度の5つあります。離職率の低下を実現できた事業主には、目標達成助成として57万円が支給されます。

生産性要件をクリアすることで、受給額が増える

生産性要件とは、生産性を高める取り組みを支援するために、生産性を向上させた会社へ支給する助成金の金額を割増する制度です。生産性要件が適用される条件は、次のいずれかになります。

  • 助成金の支給申請を行う直近の会計年度における生産性が、その3年度前に比べて6%以上伸びていること
  • 助成金の支給申請を行う直近の会計年度における生産性が、その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)で生産性要件が適用された場合、72万円が支給されます。

「助成金が増える生産性要件とは? 利用の条件や受給額が増える助成金を紹介」を詳しく見る

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の支給対象となる雇用管理制度は5つ

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)で支給の対象になる雇用管理制度は、評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間正社員制度の5つあります。

派遣社員や雇用期間の決まっているパート・アルバイトは対象外

評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度を実施する上で、対象となるのは「通常の労働者」です。通常の労働者とは、次の条件をすべて満たしている労働者のことを指します。

  • 事業主に直接雇用される者であって、事業主と期間の定めのない労働契約を締結する労働者であること
  • 当該事業所において正規の従業員として位置づけられていること
  • 所定労働時間が、当該事業所の同じ職種で働くフルタイムの正規従業員と同等であること
  • 社会通念に照らして、労働者の雇用形態、賃金体系等(例えば、長期雇用を前提とした待遇を受けるものであるか、賃金の算定方法・支給形態、賞与、定期的な昇給の有無等)が正規の従業員として妥当なものであること
  • 雇用保険の被保険者(短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者を除く)であること(高年齢被保険者は含まれる)
  • 社会保険の適用事業所に雇用されている場合は、社会保険の被保険者であること(社会保険の要件を満たす者に限る)

この条件から、事業主に直接雇用されない派遣社員や、雇用期間が決まっているパート・アルバイトは対象外となります。

評価・処遇制度が支給対象となる条件は6項目

評価・処遇制度は、助成金の支給対象になる条件は、次の6項目をすべて満たしていることです。

  • 通常の労働者に対する制度で、下に掲げる評価・処遇制度を導入する事業主であること
  • 導入した評価・処遇制度の対象となる労働者全員の賃金の合計額が低下していないこと
    ※原則、制度導入後の雇用管理制度整備計画期間における対象労働者の1人1月当たりの平均賃金(残業代、賞与等の臨時に支払われる賃金を除く)と、雇用管理制度整備計画期間前の直近1カ月における1人1月当たりの平均賃金(対象となる通常の労働者の賃金が時給制及び日給制によるものである場合は直近6カ月における1人1月あたりの平均賃金)を比較することで判断する
  • 当該制度が実施されるための合理的な条件(勤続年数、人事評価結果、所属等の推薦等の客観的に確認可能な要件および基準、手続き、実施時期等)が、就業規則か労働協約に明示されていること
  • 諸手当制度を導入する場合は、基本給を減額するものではないこと。また、既存の手当を廃止して新たな手当を設ける場合は、新設する手当の支給総額が、廃止する手当の支給総額よりも増加していること
  • 退職金制度を導入する場合は、事業所を退職する労働者に対して、在職年数等に応じて支給される退職金(年金払いによるものを含む)を積み立てるための制度であって、積立金や掛金等の費用を全額事業主が負担するものであること(事業主が拠出する掛金に上乗せして従業員が掛け金を拠出する場合を除く)
  • 雇用管理制度整備計画期間内に退職が予定されている者のみを対象とするものでないこと

助成金の対象になる評価・処遇制度は次の4項目です。

  • 評価・処遇制度(評価対象者・評価者・評価基準・実施方法・反映方法等を定めた制度)
  • 昇進・昇格基準
  • 賃金制度(退職金制度・賞与を含む
  • 各手当制度(通勤手当・住居手当・転居手当(異動手当)・家族手当・単身赴任手当・役職手当(管理職手当)・資格手当・海外赴任手当・地域手当・出張手当・その他通常の労働者の評価処遇制度に係る諸手当制度として適当であると認められるもの

研修制度が支給対象となる条件は7項目

研修制度は、助成金の支給対象になる条件は、次の7項目をすべて満たしていることです。

  • 通常の労働者の職務の遂行に必要な知識、スキル、能力の付与を目的にカリキュラム内容、時間等を定めた教育訓練・研修制度であること
    ※メンター制度のメンタリングに関する知識、スキルの習得を目的とした研修・講習を除く
  • 生産ラインまたは就労の場における通常の生産活動と区別して業務の遂行の過程外で行われる教育訓練等であること(Off-JTであること)
    ※講習時間の管理が可能であれば、通信講座やe-ラーニングなども対象になる
  • 1人につき10時間以上(休憩時間、移動時間等を除く)の教育訓練などであること。教育訓練などの時間のうち、3分の2以上が労働関係法令等により実施が義務付けられていないものであること
  • 当該時間内における賃金の他、受講料(入学金および教材費を含む)、交通費等の諸経費を要する場合は、全額事業主が負担するものであること
    ※事業主が諸経費の一部又は全部を負担しない場合は原則助成金の対象とはならない
  • 教育訓練等の期間中の賃金については、通常の労働時の賃金から減額されずに支払われていること。教育訓練等が所定労働時間外または休日等に行われる場合は、割増賃金が支払われていること
  • 当該制度が実施されるための合理的な条件および事業主の費用負担が労働協約または就業規則に明示されていること
  • 雇用管理制度整備計画期間内に退職が予定されている者のみを対象とするものでないこと

支給対象となる研修の例は、新入社員研修、管理職研修、幹部職員研修、新任担当者研修、マーケティング技能研修、特殊技能研修などです。

健康づくり制度が支給対象となる条件は5項目

健康づくり制度が支給対象となる条件は、次の5項目をすべて満たしていることです。

  • 通常の労働者に対する法定の健康診断に加え、次に掲げる8項目のいずれか1つ以上の項目導入する事業主であること
    • 胃がん検診
    • 子宮がん検診
    • 肺がん検診
    • 乳がん検診
    • 大腸がん検診
    • 歯周疾患検診
    • 骨粗鬆症検診
    • 腰痛健康診断
  • 医療機関への受診等により費用を要する場合は、費用の半額以上を事業主が負担していること。ただし、労働者が希望した医療機関において本人が負担した費用について、事業主が費用の半額以上を支給する方法でも差し支えない
  • 事業主が診断結果・所見等の必要な情報の提供を受けて、その状況に対応した必要な配慮を行うことを目的としたものであること
  • 当該制度が実施されるための合理的な条件および事業主の費用負担が労働協約または就業規則に明示されていること
  • 雇用管理制度整備計画期間内に退職が予定されている者のみを対象とするものでないこと

健康づくり制度を導入する場合は、全ての通常の労働者を対象とする制度にする必要があります(医学的な根拠のある場合は除きます)。また、新たに導入する健康づくり制度の複数の項目の中から、労働者が希望する項目を選択する形式で導入する場合も、助成の対象となります。

健康づくり制度を実施する場合、労働者の健康状態によって医学的な見地・根拠から項目の受診が不要だと判断される方がいる場合は、この方に他の雇用管理制度の導入・実施を行う必要があります。

メンター制度が支給対象となる条件は7項目

メンター制度が支給対象となる条件は、次の7項目をすべて満たしていることです。

  • 通常の労働者に対するキャリア形成上の課題および職場における問題の解決を支援するためのメンタリングの措置であること。会社や配属部署における直属上司とは別に、指導・相談役となる先輩(メンター)が後輩(メンティ)をサポートする制度であること
    ※支援機関や専門家等による外部メンターを活用する場合でも差し支えない。その場合のメンターは、外部メンターに係るサービスを業として提供し、メンタリングに関する知識、スキル(コーチング、カウンセリング等)を有しており、メンターとして適当な者であることが必要
  • メンターに対し、民間団体などが実施するメンター研修、メンター養成講座などのメンタリングに関する知識、スキル(コーチング、カウンセリングなど)の習得を目的とする講習を受講させること。メンター制度に係る講習は研修制度の一環として行うことはできない
  • 2の講習を受講する際のメンターの賃金、受講料、交通費を要する場合、全額事業主が負担しているものであること
  • メンター、メンティによる面談方式のメンタリングを実施すること
    ※面談方式のメンタリングを補完する目的で電話やメール、テレビ電話などを活用することは可能
  • メンター、メンティに対し、メンター制度に関する事前説明を行うこと
  • 当該制度が実施されるための合理的な条件および事業主の費用負担が就業規則や労働協約に明示されていること
  • 雇用管理制度整備計画期間内に退職が予定されている者のみを対象とするものでないこと

短時間正社員制度が支給対象となる条件は3項目

短時間正社員制度が支給対象となる条件は、次の3項目をすべて満たしていることです。

  • 事業主が雇用している労働者または新たに雇い入れる労働者を下記に該当する短時間正社員とする制度であること
  • 当該制度が実施されるための合理的な条件(短時間正社員制度を労働者に適用するための要件、基準および手続等)が労働協約または就業規則に明示されていること
  • 雇用管理制度整備計画期間内に退職が予定されている者のみを対象とするものでないこと

短時間正社員とは6項目の条件を満たす労働者

短時間正社員制度の対象となる短時間正社員とは、次の6項目に当てはまる労働者を指します。

  • 事業主に直接雇用される者であって、事業主と期間の定めのない労働契約を締結する労働者であること
  • 当該事業所において正規の従業員として位置づけられていること
  • 所定労働時間が同一の事業主に雇用されるフルタイムの正規の従業員の所定労働時間に比べ短く、かつ以下のa~cのいずれかに該当する労働者であること
    • 同一の事業主に雇用されるフルタイムの正規の従業員の1日の所定労働時間が7時間以上の場合、1日の所定労働時間が1時間以上短い労働者
    • 同一の事業主に雇用されるフルタイムの正規の従業員の1週当たりの所定労働時間が35時間以上の場合、1週当たりの所定労働時間が1割以上短い労働者
    • 同一の事業主に雇用されるフルタイムの正規の従業員の1週当たりの所定労働日数が5日以上の場合、1週当たりの所定労働日数が1日以上短い労働者
  • 賃金の算定方法および支給形態、賞与、退職金、休日、定期的な昇給や昇格の有無等の労働条件について、同一の事業主に雇用されるフルタイムの正規の従業員の待遇が適用されていること
  • 期間当たりの基本給、賞与、退職金等の労働条件が、同一の事業主に雇用されるフルタイムの正規の従業員と比較して同等であること
  • 雇用保険の一般被保険者であること

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の支給対象となる事業主の条件は10項目

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の支給対象となる事業主の条件は、次の10項目です。

  • 雇用保険の適用事業の事業主であること
  • 認定された雇用管理制度整備計画に基づき、当該計画期間内に、以下で挙げるいずれかの雇用管理制度を新たに導入し、導入した雇用管理制度を、対象事業所における全ての通常の労働者に対して、各労働者に1つ以上実施した事業主であること
    • 評価・処遇制度
    • 研修制度
    • 健康づくり制度
    • メンター制度
    • 短時間正社員制
  • 雇用管理制度整備計画期間内に新たに導入・実施した雇用管理制度を、評価時離職率算定期間の末日まで引き続き運用し、労働者の適正な雇用管理に努める事業主であること
  • 離職者がいる場合、次の条件を満たすこと
    雇用管理制度整備計画期間の初日の前日から起算して6カ月前の日から雇用管理制度助成コースに係る支給申請期間の末日までの間に、倒産や解雇などの離職理由により離職した者の数が、雇用管理制度整備計画提出日における被保険者数の6%を超えていないこと(特定受給資格者となる離職理由の被保険者が3人以下の場合を除く)
  • 画開始日の前日から起算して6カ月前から雇用管理制度整備計画期間の末日までの期間について、雇用する雇用保険被保険者(「雇用保険法第38条第1項に規定する「短期雇用特例被保険者」及び同法第43条第1項に規定する「日雇労働被保険者」を除く」)を事業主都合で解雇等していないこと(同一事業主の全ての適用事業所が対象)
  • 離職率の目標を達成する
    ※評価時離職率が30%以下になっている必要がある
  • 短時間正社員制度を導入する場合、保育事業主であること
    保育事業主とは、以下に規定する業務を目的とする事業を行う事業主です。なお、主たる事業が保育事業以外の場合であっても支給対象となります。

    • 一時預かり事業(児童福祉法第6条の3第7項)
    • 家庭的保育事業(児童福祉法第6条の3第9項)
    • 小規模保育事業(児童福祉法第6条の3第10項)
    • 居宅訪問型保育事業(児童福祉法第6条の3第11項)
    • 事業所内保育事業(児童福祉法第6条の3第12項)
    • 病児保育事業(児童福祉法第6条の3第13項)
    • 保育所(児童福祉法第39条第1項)
  • 介護事業主である場合、介護事業を営む事業所ごとに雇用管理責任者を選任し、かつ、その選任した者を各事業所に掲示することなどにより労働者に周知していること
  • 法令に定められた定期健康診断等を実施していること
  • 社会保険の適用事業所であること(社会保険の要件を満たす場合)。また、対象事業所に雇用される労働者が社会保険の被保険者であること(社会保険の要件を満たす者に限る)

過去に助成金を受給している事業主がクリアすべき条件とは

以下の紹介する助成金を、過去に受給したことがある事業主は、それぞれの条件をクリアする必要があります。

次の4つの助成金を受給している事業主

  • 人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース/目標達成助成)
  • 職場定着支援助成金(雇用管理制度助成コース/制度導入助成又は目標達成助成)
  • 中小企業労働環境向上助成金(雇用管理制度助成)
  • 建設労働者確保育成助成金(雇用管理制度助成コース/制度導入助成)

同じ雇用管理制度区分を含む制度導入に係る雇用管理制度整備計画を提出する場合は、最後の支給決定日の翌日から起算して3年間が経過している事業主であること

次の2つの助成金を受給している事業主

  • 人事評価改善等助成金(制度整備助成/制度整備助成又は目標達成助成)
  • 人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース/制度整備助成又は目標達成助成)

評価・処遇制度の雇用管理制度区分を含む雇用管理制度整備計画を提出する場合は、最後の支給決定日の翌日から起算して3年間が経過している事業主であること

また、人材確保等支援助成金(介護・保育労働者雇用管理制度助成コース)を受給するために、計画を開始しようとする事業主は、注意が必要です。雇用管理制度助成コースの評価時離職率算定期間と、介護・保育労働者雇用管理制度助成コースの評価時離職率算定期間が重複するかどうかなどによって、助成金支給の併給調整がかかる可能性があるからです。

雇用管理制度助成コースと介護・保育労働者雇用管理制度助成コースの併用を検討されている事業主の方は、計画を提出する前に、最寄りの都道府県労働局に相談してください。

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の受給条件のひとつ、離職率の低下を計る方法とは

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の受給条件の1つに、目標に掲げる離職率を達成することが明記されています。離職率の算出方法と、設定する目標値について紹介します。

離職率の算出方法は2つの方法がある

離職率は次に紹介する計算式で算出します。計算式の※1にある離職率は、小数点第2位を四捨五入します。ただし四捨五入の影響により、目標達成状況を正確に判定することが困難な場合には、小数点第2位以下まで算出し、算出した値が100を超えた場合には、離職率を100とします。

計算式の※2にある離職による雇用保険一般被保険者とは、 定年退職、重責解雇、役員昇格、労働者の個人的な事情による労働時間の短などによる方は含みません。離職率の算出にあたっては、雇用保険データ上の離職年月日をもとに算出するので、所定の期間の末日で離職した方は、所定の期間における離職による雇用保険一般被保険者資格喪失者数に含みます。

離職率(%)
(※1)
所定の期間における離職による
雇用保険一般被保険者資格喪失者数(※2)
× 100
所定の期間の初日における雇用保険一般被保険者数

 

また、この計算式の中にある、所定の期間は、算出する離職率によって異なります。

  • 評価時離職率
    所定の期間が、雇用管理制度整備計画期間の末日の翌日から起算して12カ月経過する日までの期間として算出した離職率
  • 計画時離職率
    所定の期間が雇用管理制度整備計画認定申請日の12カ月前の属する月の初日から雇用管理制度整備計画認定申請日の属する月の前月末までの期間として算出した離職率

雇用保険一般被保険者とは、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者以外の被保険者です。また、雇用保険一般被保険者について、主たる事業が保育事業以外の事業主が短時間正社員制度を導入する場合は、保育労働者のうち一般被保険者の数をカウントします。

離職率の目標値は、雇用保険一般被保険者の人数で決まる

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の受給には、評価時離職率を、計画時離職率より次の表にある、離職率ポイント以上、低下させる必要があります。目標値は、対象事業所における雇用保険一般被保険者の人数の規模に応じて変わります。ただし、評価時離職率が30%以下になっている必要があります。

対象事業所における雇用保険一般被保険者の人数規模区分 1~9人 10~29人 30~99人 100~299人 300人以上
低下させる離職率ポイント 15%pt 10%pt 7%pt 5%pt 3%pt

 

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の申請手順と注意する期限とは

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)は、取り組みを始める前にやるべきことのほか、提出する届出や支給申請の締め切りなど、期限に注意しなければならないことがあります。

受給するまでの5つのステップ

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の申請手順は、次の5つのステップです。

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の流れ

雇用管理制度整備計画の提出は、計画開始日からさかのぼって、6カ月前から1カ月前の日の前日までに提出

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の支給までのステップで重要なポイントは、雇用管理制度整備計画を計画開始日からさかのぼって、6カ月前から1カ月前の日の前日までに提出する必要があることです。なお、別の雇用管理制度整備計画の計画期間中は、新たな計画を提出することはできません。

支給申請の締め切りは、計画期間終了後12カ月間の算定期間が終了してから2カ月以内

離職率の低下目標を達成できた場合の、支給申請の締め切りは、計画期間終了後12カ月間の算定期間が終了してから2カ月以内です。

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)で制度を導入する前に提出が必要な書類は、共通する12種類

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)では、制度を導入する前に提出が必要な書類は、昨年の11種類から12種類に増えました。

  • 人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)雇用管理制度整備計画(変更)書
  • 導入する雇用管理制度区分に応じた概要票
    • 評価・処遇制度は導入する評価・処遇制度の概要票
    • 研修制度は導入する研修制度の概要票
    • 健康づくり制度は導入する健康づくり制度の概要票
    • メンター制度は導入するメンター制度の概要票
    • 短時間正社員制度(保育事業主のみ)は導入する短時間正社員制度の概要票
  • 事業所における雇用管理制度対象労働者名簿
  • 事業所確認票
  • 現行の労働協約または就業規則、雇用管理制度を新たに導入するにあたり変更する予定の労働協約または就業規則の案
  • 対象事業所における計画時離職率の算出に係る期間の雇用保険一般被保険者の離職理由等がわかる書類(離職証明書など)
  • 短時間正社員制度を導入する場合は、保育事業を行っている事業主であることを確認できる書類(保育事業に係る自治体の許可・届出の書類、ホームページ、園児募集のためのリーフレットなど)
  • 主たる事業が保育事業以外の事業主が、管轄する保育事業所に短時間正社員制度を導入する場合、計画時離職率算定期間に係る、保育労働者のうち一般被保険者の名簿
  • 事業主が、法令で定める健康診断を実施していることが分かる書類(医療機関等との健康診断実施にかかる契約書、領収書など)
  •     

  • 対象労働者が「通常の労働者」の要件を満たすことが確認できる書類(対象労働者の労働条件通知書または雇用契約書など)
  • 事業所が社会保険の適用事業所であることが分かる書類(社会保険料納入証明書、社会保険料納入確認書など)、事業所の労働者が社会保険の被保険者であることが分かる書類(賃金台帳など社会保険の支払いが分かる書類)
  • その他管轄労働局長が必要と認める書類

1の計画書を作成する際には、人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)雇用管理制度整備計画(変更)書の項目やパンフレットなどに記載の要件に基づき、内容を検討しましょう。なお、計画期間3カ月以上1年以内計画開始日は、最初に雇用管理制度を導入する月の初日になります。

また、2の概要票は、離職の原因と、制度を導入することでどのような効果が得られるのか、具体的に描く必要があります。

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の支給申請で必要な書類は、制度全てに共通する書類と、制度ごとに必要な書類がある

支給申請で必要な書類は、制度全てに共通する書類と、制度ごとに必要な書類があり、多岐に渡ります。支給申請時に抜け漏れがないよう、早めに確認しておきましょう。

支給申請で共通して必要な書類は13種類

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の支給申請で、5つの制度に共通して必要な書類は、昨年の12種類から13種類に増えました。

  • 人材確保等支援助成金(雇用管理制度等助成コース/目標達成助成)支給申請書
  • 事業所確認票
  • 事業所における雇用管理制度対象労働者名簿
  • 対象事業所における評価時離職率算定期間の雇用保険一般被保険者の離職理由等がわかる書類
    離職証明書など
  • 導入した雇用管理制度の内容が確認できる以下のいずれかの書類制度を明示した労働協約制度を明示した就業規則(労働基準監督署等の受理印のあるもの)
    ※常時10人未満の労働者を使用する事業主の場合は、制度を明示した就業規則および就業規則を従業員全員に対して周知されたことが確認できる書面
  • 事業主が、法令で定める健康診断を実施していることが分かる書類。医療機関等との健康診断実施にかかる契約書、領収書など
  • 事業所が社会保険の適用事業所であることが分かる書類(社会保険の要件を満たす場合に限る)。社会保険料納入証明書、社会保険料納入確認書など、書類当該事業所の労働者が社会保険の被保険者であることが分かる書類(社会保険の要件を満たす者に限る)。賃金台帳など
  • 導入した雇用管理制度を実際に実施したことが確認できる書類(各制度ごとに以下の書類)
  • 主たる事業が保育事業以外の事業主が、管轄する保育事業所に短時間正社員制度を導入した場合は、保育労働者のうち一般被保険者の名簿
    ※法人全体(保育事業を提供する事業所以外を含む)で、短時間正社員制度を含む複数の
    雇用管理制度を導入する場合については、必要ない
  • 生産性要件を満たした場合の支給額の申請を行う場合は、生産性要件を満たしているか確認するための書類及び算定の根拠となる証拠書類。生産性要件算定シート、損益計算書、総勘定元帳など
  • 支給要件確認申立書
  • 研修制度・メンター制度を外部の機関や個人等に委託等して実施する場合は、研修制度等の実施にかかる不正受給の際の取り扱い承諾その他管轄労働局長が必要と認める書類
    13.その他管轄労働局長が必要と認める書類
  • その他管轄労働局長が必要と認める書類

このほか、制度ごとに支給申請で必要になる書類があります。

評価・処遇制度を実施した場合に、支給申請で必要な書類は5種類

評価・処遇制度を実施した場合に、支給申請で必要な書類は次の5種類です。

  • 導入した評価・処遇制度の概要票
  • 対象労働者の賃金台帳等賃金の支払い状況が確認できる書類。制度の導入日の1カ月前から評価時離職率算定期間の末日までの全ての月分
  • 対象労働者の出勤簿等出勤状況が確認できる書類。制度の導入日の1カ月前から評価時離職率算定期間の末日までの全ての月分
  • 対象労働者の労働条件通知書または雇用契約書
  • 評価・処遇制度を実施したこと及びその内容、制度の実施日が確認できる書類。事業所内での周知書類、人事評価を行った書類、昇進・昇格に関する通知など

研修制度を実施した場合に、支給申請で必要な書類は5種類

研修制度を実施した場合に、支給申請で必要な書類は5種類です。

  • 導入した研修制度の概要票
  • 対象労働者の賃金台帳等賃金の支払い状況がわかる書類。制度の導入日の1カ月前から教育訓練等を行った期間に係る全ての月分
  • 対象労働者の出勤簿等出勤状況が確認できる書類。制度の導入日の1カ月前から教育訓練等を行った期間に係る全ての月分
  • 対象労働者の労働条件通知書または雇用契約書
  • 教育訓練等を行ったこと及びその内容、制度の実施日が確認できる書類。実施内容・日時・場所等が記載された実施通知、カリキュラム、セミナー受講証や修了証、領収書など

健康づくり制度を実施した場合に、支給申請で必要な書類は5種類

健康づくり制度を実施した場合に、支給申請で必要な書類は5種類です。

  • 導入した健康づくり制度の概要票
  • 対象労働者の賃金台帳等賃金の支払い状況が確認できる書類。制度の実施日に係る月分
  • 対象労働者の出勤簿等出勤状況が確認できる書類。制度の実施日に係る月分
  • 対象労働者の労働条件通知書または雇用契約書
  • 健康診断等を行ったこと及びその内容、制度の趣旨・目的、実施日が確認できる書類。実施内容・日時・場所等が記載された実施通知、実施機関との間で締結した契約書、診断結果・所見等の情報の提供を受けることに関する取り決め等が分かる資料、領収書など

メンター制度を実施した場合に、支給申請で必要な書類は7種類

メンター制度を実施した場合に、支給申請で必要な書類は7種類です。

  • 導入したメンター制度の概要票
  • メンター(外部メンターを除く)及びメンティの賃金台帳など賃金の支払い状況が確認できる書類。メンター研修、メンター講座を受講させた日及びメンタリングを実施した日に係る月分
  • メンター(外部メンターを除く)及びメンティの出勤簿など出勤状態が確認できる書類。メンター研修、メンター講座を受講させた日及びメンタリングを実施した日に係る月分
  • メンター(外部メンターを除く)及びメンティの労働条件通知書または雇用契約書
  • メンター(外部メンターを除く)に対するメンター研修、メンター講座を受講させたことが確認できる書類。講習内容・日時・場所等が記載された実施通知、カリキュラム、セミナー受講証や修了証、領収書等
  • メンタリング(面談)を行ったこと及びその内容、制度の実施日が確認出来る書類。日時・場所等が記録されたメンタリング(面談)実施記録など
  • 外部メンターを活用した場合、外部メンターを活用したことが確認できる書類。契約書、領収書など

短時間正社員制度を実施した場合に、支給申請で必要な書類は6種類

短時間正社員制度を実施した場合に、支給申請で必要な書類は6種類です。

  • 導入した短時間正社員制度の概要票
  • 対象労働者の賃金台帳等賃金の支払い状況がわかる書類。制度の導入日の1カ月前から評価時離職率算定期間の末日までに係る全ての月分
  • 対象労働者の出勤簿等出勤状況が確認できる書類。制度の導入日の1カ月前から評価時離職率算定期間の末日までに係る全ての月分
  • 対象労働者の労働条件通知書または雇用契約書
  • 短時間正社員制度を実施したこと及びその内容、制度の実施日が確認できる書類。事業所内での周知書類など
  • 同一の事業主に雇用されるフルタイム正社員と同等の待遇・労働条件であることが確認できる書類。休暇規程及び賃金規程に基づき短時間正社員の基本給、賞与、退職金等が同職種の通常の労働者と同等と説明できる算出式など

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の申請で注意すべき2つのポイント

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)では、申請する際に、通常の労働者に関連する、注意すべき2つのポイントがあります。

通常の労働者が1人もいない場合は申請でない

雇用管理制度整備計画を提出する時点で、事業所に通常の労働者が1人もいない場合は、申請できません。人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)は、計画を提出する際に、事業所における雇用管理制度対象労働者名簿を提出する必要があります。対象労働者名簿に記載できる通常の労働者がいない場合は、申請することができないからです。

通常の労働者全員に、制度を実施する必要がある

雇用管理制度は、事業所の通常の労働者全員に、1人1つ以上、実施する必要があります。なお、認定された計画で、通常の労働者1人に複数の雇用管理制度を実施することとしていた場合は、計画どおりに複数の雇用管理制度を実施していなければ、支給対象になりません。

まとめ

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)を受給するための取り組みは、離職率の低下が期待できるだけでなく、労働者のモチベーションアップにもつながります。導入していない制度があれば、導入を検討してはいかがでしょうか。制度ごとに用意する書類が多い助成金なので、申請に時間をかけられない方は、書類の入力項目をガイドし、スムーズな作成をサポートする助成金クラウドのご活用もご検討ください。

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