助成金ノウハウ情報

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)は職場復帰支援でも支給される助成金(令和3年度要件変更あり)

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)は、育児休業の取得促進に取り組む中小企業を支援する助成金です。育休取時や職場復帰、代替要員の確保や職場復帰の支援に助成金が支給されます。この記事では、取り組みごとの支給額や支給条件に加え、押させておきたい3つのポイントも紹介します。

目次

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)は、育休取得から職場復帰までを支援

内閣府がまとめた仕事と生活の調和レポート2018によると、第1子の出産を機に、離職する女性は、46.9%にも上ります。また、育児休業を取得せずに働き続けた女性は13.8%という結果を受けて、政府は育児休業の取得を推進する、様々な施策を実施しています。

厚生労働省が支給する両立支援等助成金(育児休業等支援コース)は、育児休業を取りやすい、そして職場に復帰できる環境づくりに取り組む、中小企業を支援する助成金です。まずは、育児休業等支援コースの概要を紹介します。

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の支給対象の取り組みは5種類ある

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)で助成金が支給される取り組みは、次に紹介する5種類です。

  • 育休取得時は、3カ月以上の育児休業を取得させた場合に支給される
  • 職場復帰時は、育児休業終了後、引き続き雇用保険の被保険者として6カ月以上雇用し、支給申請日に雇用している場合に支給される
  • 職場支援加算は、育児休業取得者の代替要員の雇用などを行わずに、以前から雇用する従業員が育児休業取得者の業務を代替する場合に支給される
  • 代替要員確保時は、育児休業取得者の代替要員を確保した場合に支給される
  • 職場復帰後支援は、子どもの看護休暇制度か保育サービス費用補助制度を導入し、利用した場合に支給される

ここで紹介した取り組みのうち、1、2、3はセットの取り組みになります。4と5は単独で取り組むことができます。

支給対象は中小企業のみ

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の支給対象となる事業主は雇用保険関係の共通要件を満たす必要があります。また、以下の表に当てはまる中小企業のみが対象となっており、中小企業以外は申請できません。

中小企業の定義
産業分類 資本金の額・出資の総額 常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む) 5000万円以下 50人以下
サービス業 5000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

 

生産性要件をクリアすることで、受給額が増える

生産性要件とは、生産性を高める取り組みを支援するために、生産性を向上させた会社へ支給する助成金の金額を割増する制度です。生産性要件が適用される条件は、次のいずれかになります。

  • 助成金の支給申請を行う直近の会計年度における生産性が、その3年度前に比べて6%以上伸びていること
  • 助成金の支給申請を行う直近の会計年度における生産性が、その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の支給対象の取り組み1.
育児休業取得時、職場復帰時、職場支援加算

それでは、両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の支給対象になる取り組みを詳しく紹介していきます。最初に紹介するのは、育休取得時、職場復帰時、職場支援加算の1セットの取り組みです。

支給額の合計は最大96万円

支給金額は、育休取得時、職場復帰時それぞれ1人当たり28万5000円です。生産性要件を満たした場合は、それぞれ36万円に増額されます。職場支援加算が認められた場合、職場復帰時の助成金に加えて19万円、生産性要件を満たすと24万円が加算されます。

支給額
通常の場合 生産性要件を満たした場合
育休取得時 285,000円 360,000円
職場復帰時 285,000円 360,000円
職場支援加算(※職場復帰時に加算) 190,000円 240,000円

 

対象となる育休を取得する労働者は2名まで

対象となる労働者は、1事業主あたり2人までと上限があります。この2人の内訳は、無期労働者が1人、有期労働者が1人と定められています。育休取得時と職場復帰時、職場支援加算は別々の労働者を対象とすることはできません。

対象となる事業主の条件は、取り組みごとに異なる

対象となる事業主の要件は、育休取得時、職場復帰時、職場復帰加算のそれぞれで異なります。

育休取得時で、支給対象となる事業主の条件は8項目

育休取得時で、支給対象となる事業主の条件は次の8項目です。

  • 中小企業事業主であること
  • 労働者の円滑な育児休業の取得及び職場復帰について、育休復帰支援プランにより支援する措置を実施する旨を、申請予定の労働者の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には、産後休業)を開始する日の前日までに規定し、労働者へ周知していること
  • 雇用保険の被保険者として雇用している育児休業取得予定者またはその配偶者の妊娠の事実(養子の場合は、養子縁組の成立)について把握後育児休業取得予定者の上司または人事労務担当者と育児休業取得予定者が面談を実施し、結果について面談シートに記録し、対象育児休業取得者のための育休復帰支援プランを作成していること
  • 3で作成した育休復帰支援プランに基づき、育児休業取得予定者の育児休業(産前休業の終了後引き続き産後休業や育児休業をする場合には、産前休業。また、産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には、産後休業)を開始する日の前日までに業務の引き継ぎを実施させていること
  • 雇用保険の被保険者として雇用している、3、4に該当する対象育児休業取得者に、連続3カ月以上の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には、産後休業を含む)を取得させていること。
  • 5の該当者を、育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には、産後休業)を開始する日において、雇用保険の被保険者として雇用していること
  • 育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業の制度及び同法第23条第1項に規定する育児のための短時間勤務制度について、労働協約または就業規則に規定していること
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しその旨を都道府県労働局長に届け出ている。また、その一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知させるための措置を講じていること

職場復帰時で、支給対象となる事業主の条件は3項目

職場復帰時で、支給対象となる事業主の条件は、次の3項目です。

  • 両立支援等助成金(育児休業等支援コース育休取得時)の要件に該当し、育休取得時の助成金を受給した中小企業事業主が、休業取得時と同一の育児休業取得者に対して次のaからdの取り組みを実施すること。
    • 育休復帰支援プランに基づく措置を実施し、対象育児休業取得者が職場復帰するまでに、対象育児休業取得者の育児休業中(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には産後休業を含む)の職場に関する情報及び資料の提供を実施していること
    • 育児休業取得者の育児休業終了前と終了後に上司または人事労務担当者とそれぞれ面談を実施し、結果について面談シートに記録していること
    • bの面談結果を踏まえ、育児休業取得者を原則として原職などに復帰させていること
    • cの該当者を、育児休業終了後、引き続き雇用保険の被保険者として6カ月以上雇用しており、さらに支給申請日において雇用していること
  • 育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業の制度及び同法第23条第1項に規定する育児のための短時間勤務制度について、労働協約または就業規則に規定していること
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出ている。また、その一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知させるための措置を講じていること

職場支援加算で、支給対象となる事業主の条件は6項目

職場支援加算で、支給対象となる事業主の条件は、次の6項目です。

  • 両立支援等助成金(育児休業等支援コース職場復帰時)の条件に当てはまる中小企業事業主であること
  • 両立支援等助成金(育児休業等支援コース職場復帰時)の育児休業取得者の業務を、当該事業主が雇用する次のいずれにも該当する労働者に代替させていること
    • 雇用保険被保険者であること
    • 採用の時期が、対象育児休業取得者またはその配偶者の妊娠の事実(養子の場合は養子縁組の成立について知り得た日以前であること
    • 対象育児休業取得者の育児休業期間中産後休業期間を含む。業務を代替する期間が、連続1カ月以上の期間が合計3カ月以上あること
  • 業務の見直し・効率化のため、育児休業(産前休業の終了後引き続き産後休業及び育児休業をする場合には、産前休業。産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には、産後休業)の開始日の前日までに以下のa、bの取り組みをいずれも実施している
    • 対象育児休業取得者または業務代替者の業務について、見直し・効率化を検討し次のいずれかの結果が確認できること
      • 業務の一部の休止・廃止
      • 手順・工程の見直し等による効率化、業務量の減少
      • マニュアル等の作成による業務、作業手順の標準化
    • 対象育児休業取得者の育児休業中の業務分担を明確にし、業務代替者の上司または人事労務担当者が業務代替者に代替業務の内容、賃金について、面談により説明していること
  • 業務代替者に対して、代替業務に対応した賃金制度(例:業務代替手当、特別業務手当など)を育児休業(産前休業の終了後引き続き産後休業や育児休業をする場合には、産前休業。産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には、産後休業)の開始日の前日までに働協約または就業規則に規定している
  • 4の賃金制度に基づき、業務代替期間における業務代替者の賃金が増額されており、1カ月ごとの業務代替期間において1人につき1万円以上増額されている期間が合計3カ月以上あること
  • 5の業務代替期間において、全ての業務代替者の1カ月ごとの所定外労働時間が7時間を下回ること(令和3年度要件撤廃)

申請までの流れは、育休取得時、職場復帰時、職場復帰加算でそれぞれ異なる

申請の流れを、育休取得時、職場復帰時、職場復帰加算のそれぞれに分けて紹介します。

育休取得時の支給申請までの流れは8つのステップ

育休取得時の支給申請までの流れは8つのステップです。

両立支援助成等助成金(育児休業等支援コース)の流れ①

職場復帰時の支給申請までの流れは8つのステップ

職場復帰時の支給申請までの流れは7つのステップです。

両立支援助成等助成金(育児休業等支援コース)②

職場支援加算の支給申請までの流れは7つのステップ

職場支援加算の支給申請までの流れは7つのステップです。

両立支援助成等助成金(育児休業等支援コース)③

支給申請の締め切りも、育休取得時と、職場復帰時、職場復帰加算とでは異なる

育休取得時の支給申請の締め切りは、育児休業開始日から3カ月を経過する日の翌日から2カ月以内です。また、職場復帰時と職場支援加算の支給申請の締め切りは育児休業終了日の翌日から6カ月経過の翌日から2カ月以内です。職場復帰時や職場支援加算が申請できるのは、育児休業終了日の翌日から半年経った後なので、申請を忘れないように記録しておきましょう。

支給申請に必要な書類も、育休取得時、職場復帰時、職場復帰加算でそれぞれ異なる

支給申請で提出が必要な書類は育休取得時、職場復帰時、職場復帰加算のそれぞれで異なります。

育休取得時の支給申請に必要な書類は13種類

育休取得時の支給申請には、次の1から11の書類を提出する必要があります。また、生産性要件を満たす場合には12、13の書類の提出も必要です。

  • 両立支援等助成金(育児休業等支援コース育休取得時)支給申請書の原本と支給要件確認申立書の原本
  • 対象育児休業取得者に係る面談シート
  • 対象育児休業取得者に係る育休復帰支援プラン
  • 申請事業主において、労働者の円滑な育児休業の取得及び職場復帰について、育休復帰支援プランにより支援する措置を実施することを規定していることが確認できる書類(実施要領、通達、マニュアル、育児休業規程等)と労働者へ周知されたこと、周知された日付が分かる書類(例:社内報、イントラネットの掲示板等の画面を印刷した書類など)
  • 労働協約または就業規則及び関連する労使協定。育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業の制度及び同法第23条第1項に規定する育児のための短時間勤務制度を規定していることが確認できる部分(育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業以外の育児休業についても制度を規定している場合は当該部分も含む)。具体的には、本社などや対象育児休業取得者が生じた事業所の就業規則か労働協約(必要に応じ関連する労使協定)を添付すること。なお、対象育児休業取得者が生じた事業所以外の事業所であって上記就業規則と異なる就業規則を規定している事業所がある場合には、当該労働協約または就業規則を添付すること
  • 対象育児休業取得者の育休復帰支援プランの策定日における雇用期間の定めが確認できる書類(例:対象育児休業取得者の労働条件通知書または雇用契約書など)
  • 対象育児休業取得者の育児休業申出書(育児休業の期間が変更されている場合は育児休業期間変更申出書)
  • 対象育児休業取得者の育児休業(産前休業の終了後引き続き産後休業や育児休業をする場合には、産前休業。産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には、産後休業)前1カ月分及び育児休業期間3カ月分の就労実績が確認できる書類(例:育児休業取得者の出勤簿またはタイムカード及び賃金台帳)
  • 対象育児休業取得者に育児休業に係る子がいることを確認できる書類(例:母子健康手帳の子の出生を証明する該当部分、健康保険証(子が対象育児休業取得者の被扶養者である場合)など)
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出ており、また、その一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知するための措置を講じていることが分かる書類。(例:自社のホームページの画面を印刷した書類など)
  • (これまで雇用関係助成金を受給したことがない場合または過去に受給したことがある事業主で登録済の口座番号に変更がある場合のみ)支払方法・受取人住所届及び通帳の写し等支払い口座番号が確認できる書類
  • 生産性要件算定シートや算定の根拠となる証拠書類(損益計算書、総勘定元帳など)
  • (生産性要件算定シートによる計算の結果、生産性の伸びが6%未満の場合)与信取引などに関する情報提供に係る承諾書

職場復帰時の支給申請に必要な書類は9種類

職場復帰時の支給申請には、次の1から7の書類を提出する必要があります。また、生産性要件を満たす場合は、追加で8、9の書類の提出が必要です。

  • 両立支援等助成金(育児休業等支援コース職場復帰時)支給申請書の原本と支給要件確認申立書の原本
  • 対象育児休業取得者に係る面談シート
  • 対象育児休業取得者の育児休業中の職場に関する情報と資料の提供を実施したこと、日付が確認できる書類(例:提供した資料、イントラネットの掲示板等の画面を印刷した書類など)
  • 対象育児休業取得者の育児休業期間、育児休業終了後それぞれの就労実績が確認できる書類(例:育児休業取得者の出勤簿またはタイムカード及び賃金台帳。また、対象育児休業取得者が在宅勤務である場合業務日報等(育児休業期間分として休業終了前の3カ月分及び育児休業終了後6カ月分))
  • 労働協約または就業規則及び関連する労使協定
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出ており、また、その一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知するための措置を講じていることが分かる書類(例:自社のホームページの画面を印刷した書類など)
  • (これまで雇用関係助成金を受給したことがない場合または過去に受給したことがある事業主で登録済の口座番号に変更がある場合のみ)支払方法・受取人住所届及び通帳の写し等支払い口座番号が確認できる書類
  • 生産性要件算定シートと算定の根拠となる証拠書類
  • 生産性要件算定シートによる計算の結果、生産性の伸びが6%未満の場合与信取引などに関する情報提供に係る承諾書

職場支援加算の支給申請に必要な書類は7種類

職場支援加算の支給申請には、職場復帰時の書類に追加して、次の1から5の書類を提出する必要があります。また、生産性要件を満たす場合は6、7の2種類の書類を提出する必要があります。

  • 両立支援等助成金(職場復帰時、職場支援加算)実施結果書
  • 対象育児休業取得者及び業務代替者が所属する部署全体または事業所全体の業務分担が確認できる資料(事務分担表など)
  • 職場支援加算の要件に定める賃金制度を規定した就業規則か労働協約
  • 3に定める賃金制度運用実績が把握できる業務代替者の賃金台帳(業務代替期間前1カ月分、要件を満たした業務代替期間3カ月分)
  • 職場支援加算の要件に定める業務代替者の所定労働時間及び勤務実績が確認できる労働条件通知書とタイムカード、賃金台帳、超過勤務管理簿(要件を満たした3カ月を含むもの)
  • 生産性要件算定シートと算定の根拠となる証拠書類
  • 生産性要件算定シートによる計算の結果、生産性の伸びが6%未満の場合与信取引などに関する情報提供に係る承諾書

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の支給対象の取り組み2.
代替要員確保時

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)では、育児休業を取得する労働者の業務を代替する2つの取り組みに、助成金を支給しています。1つは、先ほど紹介した、職場全体の業務の効率化を図って全体で業務を代替する職場支援加算です。もう1つは、これから紹介する、新しく代替要員を雇用や派遣によって確保する、代替要員確保時です。

支給額は最大72万円

代替要員確保時は、育児休業を取得する労働者1人あたり47万5000円、生産性要件を満たした場合は60万円が支給されます。育児休業を取得した労働者が有期契約労働者の場合、追加で9万5000円、生産性要件を満たした場合は12万円が加算されます。

支給額
通常の場合 生産性要件を満たした場合
支給対象労働者1人あたり 475,000円 600,000円
有期契約労働者の場合に加算 95,000円 120,000円

 

対象となる労働者は1年間に10人まで

代替要員確保時は、1年度に10人まで、最初の助成金対象者が支給要件を満たした日から5年間支給されます。「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定を受けた証である、くるみん認定事業主であれば、2025年3月31日まで延べ50人まで支給されます。

支給対象となる事業主の条件は11項目

代替要員確保時で、支給対象となる事業主の条件は次の11項目です。

  • 中小企業事業主であること
  • 育児休業取得者を育児休業終了後に原職等に復帰させる旨の取扱いを、対象の育児休業取得者の復帰より前に、労働協約または就業規則に規定していること
  • 育児休業取得者の代替要員を確保したこと
  • 雇用する労働者に、連続して1カ月以上休業した期間が合計して3カ月以上の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には、産後休業)を取得させ、かつ、2の規定に基づき原職等に復帰させたこと
  • 4の該当者を育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をした場合には、産後休業)を開始する日において、雇用保険の被保険者として雇用しており、さらに原職等復帰後も引き続き支給申請日において雇用していること
  • 4の該当者を、原職等復帰後、引き続き雇用保険の被保険者として6カ月以上雇用し、支給申請日においても雇用していること
  • 育児休業取得者が派遣労働者である場合、休業前から支給要件を全て満たすまでの期間について、同一の労働者派遣事業を行う事業主に雇用されていること
  • 育児休業取得者が有期契約労働者である場合の加算を受けようとする場合、対象育児休業取得者を、当該育児休業産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には、産後休業を開始する日の前日から起算して過去6カ月の間、雇用期間の定めのない労働者として、雇用していないこと
  • 最初に本助成金を支給決定された育児休業取得者の原職等復帰日から起算して6カ月を経過する日の翌日から5年を経過していない日までに、支給要件を満たす労働者を助成金の対象とすること(過去に育児・介護雇用安定等助成金両立支援レベルアップ助成金代替要員確保コースか育児休業代替要員確保等助成金、または両立支援等助成金のうち、中小企業両立支援助成金代替要員確保コースの支給を受けている場合は、これらの助成金において最初に支給決定された対象育児休業取得者の原職等復帰日から起算して6カ月を経過する日の翌日から5年を経過していない日までに支給要件を満たす労働者を助成金の対象とする)
  • 育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業の制度及び同法第23条第1項に規定する育児のための短時間勤務制度について、就業規則か労働協約に規定している
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出ている。また、その一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知するための措置を講じている

支給申請までの流れは5つのステップ

代替要員確保時の支給申請までの流れは5つのステップです。

両立支援助成等助成金(育児休業等支援コース)④

代替要員確保時の支給申請の締め切りは、育休終了日の翌日から6カ月経過の翌日から2カ月以内

代替要員確保時の支給申請の締め切りは、育休終了日の翌日から6カ月経過の翌日から2カ月以内です。育休終了から支給申請まで半年空いてしまうので、申請を忘れないように注意しましょう。

支給申請に必要な書類は11種類

代替要員確保時の支給申請には、次の1から8の書類を提する必要があります。育児休業を取得した労働者が有期雇用労働者の場合は9の書類、生産性要件を満たす場合は10と11の書類を追加で提出する必要があります。

    • 両立支援等助成金(育児休業等支援コース代替要員確保時)支給申請書の原本と支給要件確認申立書の原本
    • 就業規則または労働協約と関連する労使協定(育児休業取得者を、育児休業終了後、原職等などに復帰させる旨の取扱いを規定していることが確認できる部分)
    • 対象育児休業取得者の育児休業申出書(育児休業の期間が変更されている場合は育児休業期間変更申出書)
    • 育児休業取得者と代替要員の就労実績等に関する書類
      • 対象育児休業取得者と代替要員の部署、職務及び所定労働時間(対象育児休業取得者については、育児休業取得前と復帰後のそれぞれのもの)、所定労働日または所定労働日数が確認できる書類(例:組織図、労働条件通知書(所属、所定労働時間、就労予定日数などが確認できるもの)、就業規則(所定労働時間が確認できる部分)、企業カレンダーなど
      • 対象育児休業取得者の育児休業(産前休業の終了後引き続き産後休業及び育児休業をする場合には、産前休業。また、産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には、産後休業)取得前1カ月分、育児休業期間中及び育児休業終了後6カ月分の就労実績が確認できる書類
      • 代替要員の就労実績が確認できる書類(代替要員の雇入れ日から対象育児休業取得者の育児休業終了日までの分)
      • b、cの例:育児休業取得者及び代替要員の出勤簿またはタイムカード及び賃金台帳。また、対象育児休業取得者が在宅勤務である場合の業務日報など)
    • 代替要員が新たに雇い入れられた時期または新たに派遣された時期が確認できる書類(例:労働条件通知書、辞令、労働者派遣契約書、派遣先管理台帳など)
    • 対象育児休業取得者に育児休業に係る子がいることを確認できる書類

(例:母子健康手帳の子の出生を証明する該当部分、健康保険証(子が対象育児休業取得者の被扶養者である場合)など)

  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出ており、また、その一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知するための措置を講じていることが分かる書類(例:自社のホームページの画面を印刷した書類など)
  • (これまで雇用関係助成金を受給したことがない場合または過去に受給したことがある事業主で登録済の口座番号に変更がある場合のみ)支払方法・受取人住所届及び通帳の写し等支払い口座番号が確認できる書類
  • 対象育児休業取得者が有期契約労働者であることが確認できる書類(例:対象育児休業取得者の労働条件通知書または雇用契約書など)
  • 生産性要件算定シートと算定の根拠となる証拠書類(損益計算書、総勘定元帳など)
  • (生産性要件算定シートによる計算の結果、生産性の伸びが6%未満の場合)与信取引などに関する情報提供に係る承諾書

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)が助成金を支給する取り組み3.
職場復帰後支援

職場復帰後支援では、次の2つの制度を支援しています。

  • 子の看護休暇制度は、小学校入学までの子の看護等のための有給休暇で、時間を単位として付与することができる制度
  • 保育サービス費用補助制度は、小学校入学までの子に係る臨時的・一時的な保育サービスの費用の一部を補助するための制度

この制度への助成は、制度を導入するだけではなく、この2つの制度の導入時と制度利用時に助成金が支給されます。ただし、制度導入のみの申請はできず、育休を取得した労働者の原職復帰後6カ月以内に一定の利用実績がある場合、申請が可能になります。
一定の利用実績として、子の看護休暇制度では1人につき10時間以上、保育サービス費用補助制度については労働者1人につき3万円以上補助したことが必要と定められています。

職場復帰後支援の支給額は、制度導入時と制度利用時で異なる

職場復帰後支援の支給額は制度導入時と制度利用時でそれぞれ違います。子の看護休暇制度、保育サービス費用補助制度のいづれかの制度を導入した場合、1事業主につき1回のみ28万5000万円が支給されます。生産性要件を満たした場合は、36万円が支給されます。両方の制度を導入した場合でも、1回のみの支給になります。

また、制度利用時は、次の支給額となります。なお、職場復帰後支援の支給対象となる労働者は、1カ月以上の育休を取得した労働者です。支給対象となる人数は、最初の支給申請日から3年以内に5人までという上限があります。

支給額
通常の場合 生産性要件を満たした場合
制度導入 285,000円 360,000円
制度利用 A:子の看護休暇制度1,000円×時間 A:子の看護休暇制度1,200円×時間
B:保育サービス費用補助制度 実費の2/3

 

支給対象となる事業主の条件は7項目

職場復帰後支援の支給対象となる事業主の条件は、次の7項目です。

  • 中小企業事業主であること
  • 2018年4月1日以降に、新たに子の看護休暇制度または保育サービス費用補助制度を就業規則か労働協約に規定していること(2018年3月31日以前に制度をすでに導入している事業主であっても、2018年4月1日以降に要件に沿った制度内容に改正し、労働者に利用させた場合は対象となる)
  • 就業規則か労働協約に規定する育児休業を1カ月以上(産後休業を取得した場合は当該休業期間が1カ月以上)取得した労働者に、育児休業から原職等への復帰後6カ月以内に、2の制度について一定の利用実績があること
  • 対象育児休業取得者を育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をした場合には、産後休業)を開始する日において、雇用保険の被保険者として雇用しており、さらに原職等復帰後も引き続き支給申請日において雇用していること
  • 育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業の制度及び同法第23条第1項に規定する育児のための短時間勤務制度について、労働協約または就業規則に規定していること(対象育児休業取得者が育児休業を開始する前に規定している必要がある)
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出ている。また、その一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知するための措置を講じていること(次世代育成支援対策推進法第15条の2に基づく認定を受けた事業主を除く)

なお、保育サービス費用補助制度の助成は、内閣府で実施する「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業」(内閣府)を受給している事業主は対象外です。

支給までのステップは6つのステップ

支給までのステップは6つのステップです。

両立支援助成等助成金(育児休業等支援コース)⑤

支給申請の締め切りは、育児休業終了日の翌日から起算して6カ月を経過する日の翌日から2カ月以内

職場復帰後支援の支給申請の締め切りは、育児休業取得者の育児休業終了日の翌日から起算して6カ月を経過する日の翌日から2カ月以内となっています。制度利用の日付ではなく、育児休業の終了日が基準になっているので注意しましょう。

支給申請に必要な書類は10種類

支給申請には、必要な書類は次の1から8の書類です。また、生産性要件を満たす場合は9~10の書類を追加で提出する必要があります。

  • 両立支援等助成金(育児休業等支援コース職場復帰後支援)支給申請書の原本と支給要件確認申立書の原本
  • 就業規則か労働協約と関連する労使協定(子の看護休暇制度または保育サービス費用補助制度を規定していることが確認できる部分)
  • 対象育児休業取得者の育児休業申出書(育児休業の期間が変更されている場合は育児休業期間変更申出書)
  • 育児休業取得者の就労実績等に関する書類
    • 対象育児休業取得者の部署、職務及び所定労働時間(育児休業取得前と復帰後のそれぞれのもの)、所定労働日または所定労働日数が確認できる書類(例:組織図、労働条件通知書(所属、所定労働時間、就労予定日数等が確認できるもの)、就業規則(所定労働時間が確認できる部分)、企業カレンダーなど)
    • 対象育児休業取得者の育児休業(育児休業(産前休業の終了後引き続き産後休業及び育児休業をする場合には、産前休業。また、産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合には、産後休業))取得前1カ月分、育児休業期間中及び育児休業終了後6カ月分)
      (例:育児休業取得者の出勤簿またはタイムカード及び賃金台帳。また、対象育児休業取得者が在宅勤務である場合、業務日報など)
  • (子の看護休暇制度の利用に係る申請を行う場合のみ)子の看護休暇制度の取得申出に係る書類及びその取得実績が確認できる書類(休暇取得者の出勤簿またはタイムカード及び賃金台帳)。(保育サービス費用補助制度の利用に係る申請を行う場合のみ)保育サービス費用補助制度の取得実績に関する書類。対象育児休業取得者が保育サービスを利用する際に受領した領収書等及び申請事業主が当該保育サービス利用者に対して費用の一部または全部を補助したことを証する書類
  • 対象育児休業取得者に育児休業に係る子がいることを確認できる書類(例:母子健康手帳の子の出生を証明する該当部分、健康保険証(子が対象育児休業取得者の被扶養者である場合)など)
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出ており、また、その一般事業主行動計画を公表し、労働者に周知するための措置を講じていることが分かる書類(例:自社のホームページの画面を印刷した書類など)
  • (これまで雇用関係助成金を受給したことがない場合または過去に受給したことがある事業主で登録済の口座番号に変更がある場合のみ)支払方法・受取人住所届及び通帳の写し等支払い口座番号が確認できる書類
  • 生産性要件算定シートと算定の根拠となる証拠書類(損益計算書、総勘定元帳など)
  • 生産性要件算定シートによる計算の結果、生産性の伸びが6%未満の場合)与信取引などに関する情報提供に係る承諾書

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)を活用するために押さえておきたい3つのポイント

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)を活用する前に、押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

育休復帰支援プランに、業務の整理と引継ぎに関する措置のいずれか一方しか記載
がなくても支給される

業務の整理及び引継ぎに関する措置については、両方とも記載されていることが望ましいとされています。しかし、業務の整理及び引継ぎに関する措置は、一体的な取り組みと考えられるため、いずれかの記載があれば、要件を満たしていると判断されます。

復帰後に育児のための短時間勤務制度を利用しても、支給対象になる

就業規則か労働協約に、育児のための短時間勤務制度が規定されている必要があります。規定がない場合は、修正がなされた場合に限り、復帰後に育児のための短時間勤務制度を利用しても、支給対象になります。

資格がなければ育児休業取得者の職務を実施し得ない場合、代替要員にも同様の資格が必要

資格がなければ育児休業取得者の職務を実施できない場合、代替要員にも同様の資格が必要となります。ただし、資格に種類・等級がある場合、補助的な資格を取得している労働者でも、育児休業取得者の職務を遂行できていた場合は、代替要員と判断されます。

例えば、育児休業取得者が正看護師、代替要員が准看護師で、育児休業を取得した正看護師の業務が、准看護師が従事できる内容だった場合は、代替要員と判断されます。

まとめ

厚生労働省の資料によると、受給に取り組んだ事業主からは、「育児休業の取得前、復帰後に面談を行うことで、従業員の希望、育児の状況をきちんと把握することができ、今後の業務見通しが立ちやすくなった」という声が紹介されてます。

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)を活用することで、助成金が受給できるだけでなく、人員計画も立てることができ、さらに女性が活躍できる職場であることをアピールすることで、採用力の向上も期待できます。助成金の申請する際には、書類の記入項目を分かりやすく説明し、手間なくスムーズに作成することができる、助成金クラウドをぜひ活用してください。

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