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特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)は第二新卒や中退者の雇用で最大3回支給される

特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)は、第二新卒や中退者など、若年層を積極的に採用する事業主を支援する助成金です。三年以内既卒者等採用定着コースの支給額や受給の要件、申請の方法など、支給に必要な情報を詳しく紹介します。

目次

特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)は、若年層の雇用推進を支援

若年層の労働者の離職率に改善の兆しは見られません。厚生労働省がまとめた新規学卒者の離職状況によると、大卒者の3割、高卒者の4割が、学校を卒業してから3年以内に離職しています。

そのため、厚生労働省は若年者の就職支援を後押しし、安心して働くことができる、意欲や能力を十分に発揮できる社会を実現するため、特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)を用意しています。

特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)は、学校を卒業したり中退してから3年以内であり、12カ月以上、継続雇用されていない若年層を雇用した事業主に、1年、2年、3年の区切りごとに、定着期間に応じて助成金を支給する助成金です。

特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)の支給額は、雇用する若年層が既卒者か高校中退者かで異なる

特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)の支給額は、既卒者等コースか高校中退者コースによって異なります。まずは既卒者等コースの支給額から紹介します。

既卒者等コースの支給額は最大70万円

既卒者等コースの場合、中小企業であれば1年定着後に50万円、2年定着後に10万円、3年定着後に10万円が支給されます。中小企業以外の場合、1年定着後に35万円が支給され、2年以降は支給されません。

高校中退者コースの支給額は最大80万円

高校中退者コースの場合、中小企業であれば1年定着後に60万円、2年定着後に10万円、3年定着後に10万円が支給されます。中小企業以外の場合は、1年定着後に40万円が支給され、2年以降は支給されません。

支給額
企業区分 対象者
(助成金コース名)
1年定着後 ※1 2年定着後 3年定着後
中小企業(※2) 既卒者等コース 500,000円 100,000円 100,000円
高校中退者コース 600,000円 100,000円 100,000円
中小企業以外 既卒者等コース 350,000円
高校中退者コース 400,000円

 

中小企業の定義
産業分類 資本金の額・出資の総額 常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む) 5000万円以下 50人以下
サービス業 5000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

 

事業主が若者雇用促進法に基づく認定事業主の場合は、支給額が10万円増える

若者雇用促進法に基づく認定企業である、ユースエール認定企業の場合は、1年定着後の支給額に10万円が加算されます。ユースエール認定制度とは、若者雇用促進法に基づき若者の採用・育成に積極的で、雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度です。

認定された企業は、融資や公共調達が受けられやすくなったり、採用においてハローワークで重点的にPRされるなど、ヒト・カネ・モノの確保が容易になるメリットがあります。また、ユースエール認定マークを自社の商品や広告に使用できるので、企業のイメージアップにもつながります。

特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)の支給対象になる事業主の条件もコースによって異なる

特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)の支給対象になる事業主の条件も、既卒者等コースか、高校中退者コースかによって異なります。まずは既卒者等コースの支給対象のとなる事業主の条件から紹介します。

既卒者等コースの支給対象となる事業主の条件は2つ

既卒者等コースの支給対象となる事業主の条件は、次の2つです。

  • 既卒者・中退者が応募可能な新卒求人の申込みまたは募集(少なくとも卒業または中退後3年以内の者が応募可であることが必要)を行い、当該求人・募集に応募した既卒者・中退者を通常の労働者として雇用したこと
  • これまで既卒者等を新卒枠で雇い入れたことがないこと

高校中退者コースの支給対象となる事業主の条件も2つ

高校中退者コースの支給対象となる事業主の条件は、次の2つです。

  • 高校中退者が応募可能な高卒求人の申込みまたは募集(少なくとも中退後3年以内の者が応募可であることが必要)を行い、当該求人・募集に応募した高校中退者を通常の労働者として雇用したこと
  • これまで高校中退者を高卒枠で雇い入れたことがないこと

不支給となる要件は22項目ある

特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)には、不支給要件があります。次の22項目の要件に該当する場合、助成金は支給されません。

  • 1対象者の雇入れを行った事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族(配偶者、3親等以内の血族および姻族をいう。以下同じ)の対象者を雇用した事業主
  • 基準期間(対象者の雇入れ日の前日から起算して6カ月前の日から1年6カ月を経過する日までの期間をいう)に、当該雇入れに係る事業所の雇用保険被保険者を事業主都合により離職させた事業主
  • 基準期間に対象者を雇用した事業所において、特定受給資格者となる離職理由のうち離職区分1Aまたは3Aに区分される離職理由により離職した者の数を、事業所全体の雇用保険被保険者数で除した割合が6%を超えている(当該離職者数が3人以下の場合を除く)事業主
  • 過去1年間において、対象者を雇用していた事業主と資本的・経済的・組織的関連性等から密接な関係にある事業主
  • 対象者に対して、支給対象期中に支払うべき賃金を支払っていない事業主
  • ハローワーク等の紹介時点または募集時点と異なる労働条件により対象者の雇入れを行い、対象者に対し労働条件に関する不利益または違法行為があった事業主
  • 高年齢者雇用確保措置を講じていないことにより、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」第10条第2項に基づき、当該確保措置を講ずべきことの勧告を受けている事業主
  • 対象者を雇用した事業所において、出勤状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿など)を整備・保管していない事業主
  • 当該雇入れに係る求人票または募集要項等において、対象者が応募可能であることが確認できない事業主
  • 当該雇入れに係る雇用保険被保険者資格取得の届出を行っていない事業主
  • 雇入れ日の前日から過去3年間に、当該雇入れに係る事業所と雇用、請負、委任の関係にあった対象者、または出向、派遣、請負、委任の関係により当該雇入れに係る事業所において就労したことのある対象者を雇用した事業主
  • 雇入れ日の前日から過去3年間に、当該雇入れに係る事業所において、通算して3カ月を超えて訓練・実習等を受講等したことがある対象者を雇用した事業主
  • 助成金の支給または不支給の決定に係る審査に必要な書類等を整備、保管していない事業主
  • 助成金の支給または不支給の決定に係る審査に必要であると管轄労働局長が認める書類等を管轄労働局長の求めに応じ提出または提示する、管轄労働局の実地調査に協力する等、審査に協力する事業主以外の事業主
  • 過去3年間において雇用保険二事業の助成金等について不正受給の処分を受けている事業主
  • 支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度における労働保険料の滞納がある事業主
  • 支給申請日の前日から起算して過去1年間に労働関係法令違反により送検処分を受けている事業主
  • 風俗営業等を行うことを目的とする事業所の事業主
  • 暴力団に関係する事業主
  • 支給申請日または支給決定日時点で倒産している事業主
  • 国、地方公共団体、特定独立行政法人、特定地方独立行政法人の事業主
  • 併給調整の対象となる助成金の支給を受けている事業主

    特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)を受給するまで最大9つのステップ

    特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)の助成金が支給されるまでの流れは、次の9つのステップです。中小企業以外の場合は、第1期支給申請までの4つのステップとなります。

    特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)

    特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)の募集と雇入れの締め切りは来年度以降にチェックを

    特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)では、採用の募集、雇入れの締め切りの日程が決まっています。今年度本記事執筆時点は採用の募集や雇い入れの締め切りが過ぎているので、助成金の活用を検討している方は、厚生労働省のWebサイトを定期的にチェックして、いつでも申請できる準備をしておきましょう。

    特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)の支給申請は、定着後2カ月以内

    特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)の支給申請の締め切りは、1年間、2年間、3年間の定着後、それぞれ2カ月以内となっています。すでに助成金に取り組んでいる方は、忘れずに申請しましょう。

    特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)の支給申請に必要な書類は、申請のタイミングで異なる

    特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)の支給申請に必要な書類は、採用から何回目の支給申請かによって、提出に必要な書類は変わります。まずは1年間定着後に必要な書類から紹介します。

    1年間定着後の支給申請に必要な書類は7種類

    定着後1年目の支給申請で必要な書類は次の7種類です。また、ユースエール認定企業の場合は、追加でもう1種必要になります

    • 1当該求人・募集に係る求人票または募集要項等
    • 対象労働者との労働契約について確認できる書類またはその写し
    • 対象労働者の卒業や退学の事実およびその時期が確認できる書類
    • 対象労働者の支給対象期中の出勤状況が確認できる書類
    • 対象労働者に対して支給対象期中に支払われるべき賃金について支払ったことが確認できる書類
    • 誓約書
    • その他助成金の要件を確認するために必要となる書類
    • ユースエール認定企業の場合、認定通知書の写し

    2年間、3年間定着後の支給申請に必要な書類は4種類

    定着後2年目、3年目に支給申請に必要な書類は次の4種類です。

    • 対象労働者の支給対象期中の出勤状況が確認できる書類
    • 対象労働者に対して支給対象期中に支払われるべき賃金について支払ったことが確認できる書類
    • その他助成金の要件を確認するために必要となる書類
    • 前期の支給決定通知書

    まとめ

    少子高齢化が進み、若年層の採用はどの業種にとってもますます困難になっていきます。若年層の採用にお悩みの事業主は、新卒に限らず、第2新卒や中退者の採用にも目を向けてみてはいかがでしょうか。第2新卒や中退者を雇用したことがない企業であれば、助成金を活用しながら、若年層を採用することができます。

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