助成金ノウハウ情報

助成金の審査に必要な申請書類を書くコツは? 主な助成金ごとに紹介

助成金の中には、取り組みを実施する前に申請書類の提出が求められる助成金があります。申請書類の記入方法は公開されていますが、書き方によっては、助成金が支給されない場合もありえます。そこで、助成金の計画を審査するために提出が必要な申請書類の書き方を紹介します。

目次

事前に申請書類が必要な助成金と書類の種類とは

助成金は、厚生労働省が支給する公的資金のため、支給するかどうか判断する審査は厳正に行われます。その審査のために、助成金の中には、事前に申請書類が必要なものがあり、記入方法が決まっています。記入例からだけではわからない、書き方のポイントは、どのようなポイントなのでしょうか。助成金ごとに触れていきます。

キャリアアップ助成金のキャリアアップ計画は、具体的な施策を記載

キャリアアップ計画は、労働者のキャリアアップのために活用するコースや、期間などの計画、期間中に達成する目標や、目標達成のための施策を記載する書類です。

キャリアアップ計画では、労働者のキャリアアップを支援するキャリアアップ管理者が、3年以上5年以内の計画期間を定め、どのような目的を立てて、その目的を達成するために行う、具体的な施策を記入しましょう。その計画が曖昧なものであったり、キャリアアップにつながらないと判断された場合、計画自体が承認されないことになります。

キャリアアップ計画は、内容に変更があった場合、計画変更届を提出する必要があります。このことから分かるように、計画の内容と、実際に行われる訓練の整合性が取れているかどうかもポイントになります。自社の都合だけではなく、客観的なキャリアアップ計画の立案を心がけましょう。

人材開発支援助成金の訓練実施計画届(特定訓練コース、一般訓練コース)の訓練実施計画届は、個人の能力開発に結び付く訓練の記載を

訓練実施計画届は、人材開発支援助成金の受給対象となる訓練の実施を申請する書類です。訓練実施計画届は、訓練開始日から起算して1カ月前までに、管轄労働局長へ提出して、審査を受ける必要があります。

訓練実施計画届に記載する内容は、労働者の能力開発に特化した訓練カリキュラムである必要があります。自社の製品をテーマとした営業訓練など、単なる業務の訓練で個人の能力開発に結びつかない訓練は、審査を通ることはありません。

また、訓練実施計画届には事業内職業能力開発計画の策定の有無を記載する項目があります。事業内職業能力開発計画とは、自社の人材育成の基本的な方針を記載する計画です。まだ、作成していない事業主は、経営理念・経営方針に基づく人材育成の基本的方針・目標、昇進昇格、人事考課に関する事項、職務に必要な職業能力に関する事項、教育訓練体系を参考に作成しておきましょう。

人材開発支援助成金(教育訓練休暇付与コース)の制度導入・適用計画届も、個人の能力開発につながる訓練内容に

制度導入・適用計画届は、人材開発支援助成金の訓練実施計画届(特定訓練コース、一般訓練コース)の訓練実施計画届と同様に、受給対象となる訓練の実施を申請する書類です。記載のポイントも、単なる業務の訓練ではなく、個人の能力開発に結び付く訓練を記載することです。

また、事業内職業能力開発計画の策定の有無を記載する項目もあります。事業内職業能力開発計画を策定していない事業者は、事前に策定しておきましょう。

このほか、事業内職業能力開発計画を作成する前に、職業能力開発推進者を選任する必要があります。制度導入・適用計画届の提出期限は、制度導入・適用計画期間の初日から起算して6カ月前から1カ月前までと定められているので、前倒しで作成しましょう。

人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)の訓練計画届は、不備になる3つのポイントに注意

訓練計画届は、有期契約の労働者に、正規雇用の労働者に転換したり、処遇を改善するための訓練を実施することを申請する書類です。訓練計画届は、訓練開始日から起算して1カ月前までに、管轄労働局長に提出する必要があります。管轄労働局長が不備があると判断した場合、審査を通過することができません。

審査のポイントは、訓練の実現が見込まれないものか、正規雇用労働者等への転換を目的とした訓練であることが明確でないものか、訓練の必要性が見込まれないものかの3点です。この3点をクリアしているかどうか、訓練計画届を作成する前に確認しましょう。

また、提出する書類は一般職業訓練(基本型)、有期実習型訓練、中小企業等担い手育成訓練と、訓練内容ごとに異なるので注意しましょう。このうち、有期実習訓練(キャリアアップ型)は、訓練の総時間が訓練期間6カ月当たりで425時間以上か、ジョブ・カードの評価基準項目が、指定項目のうち半数を超えているか、記載する点がポイントとなります。

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の実施計画書は、労働者の署名が必要に

実施計画書は、トライアル雇用の実施期間や、常用雇用に移行するための条件を記載した書類です。申請書類では、常用雇用に移行するための条件について、対象者の同意を得たことを証明する署名が必要です。

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の雇用管理制度整備計画は、評価制度の成果を記載

雇用管理制度整備計画は、評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間正社員制度と、雇用管理制度助成コースで助成の対象とになる、労働者を正当に評価し継続雇用する制度ごとに、計画を記載する書類です。この雇用管理制度整備計画は、計画開始日からさかのぼって、6カ月前から1カ月前の日の前日までに、管轄労働局長へ提出し、認定を受ける必要があります。

雇用管理制度整備計画には、人事評価制度を整備する目的を記載する項目があります。評価制度を整備することで、生産性を向上させ、労働者の定着率を上げることを記載しましょう。また、離職率や、離職率の低下目標の数値も記載が必要です。

このほかにも、2つの注意点があります。1つ目は、雇用管理制度整備計画の計画期間中は、新たな計画を提出することはできないことです。2つ目は、雇用管理制度整備計画を提出する時点で、事業所に通常の労働者が1人もいない場合は、申請できないことです。人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)は、計画を提出する際に、事業所における雇用管理制度対象労働者名簿を提出する必要があります。対象労働者名簿に記載できる通常の労働者がいない場合は、申請することができないからです。

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の人事評価制度等整備計画は、各種制度が就業規則に記載されているか確認を

人事評価制度等整備計画は、人事評価制度を整備する目的や、申請時の離職率、離職率の低下目標の数値を記載する書類です。この人事評価制度等整備計画は、人事評価制度などの整備を行う前に、管轄労働局長へ提出して認定を受ける必要があります。

提出の期限は、人事評価制度等を整備する月の初日からさかのぼって、6カ月前から1カ月前の日の前日までとなっているので、前倒しで書類の作成を進めておきましょう。

人事評価制度等整備計画を作成する際には、評価など各種制度が実際に就業規則に記載されている内容か確実に確認しましょう。また、申請時の離職率を記載する場合は、計算間違いに注意しましょう。

人事評価制度等整備計画は、複数の計画を並行して提出することはできません。そのため、制度整備助成や目標達成助成の支給決定または不支給決定を受けるまでは、新たな人事評価制度等整備計画を提出することはできません。

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)の交付申請書は、事前に労使との取り決めを

交付申請書は、時間外労働を削減するために、具体的な取り組みや目標を記載した書類です。申請書類には、制度の内容はもちろん、労働時間や年次有給休暇などを労使で話し合う機会の頻度や、会議の名称、労働時間などに関する苦情や意見を受け付ける担当者を記載する項目があるので、事前に決めておきましょう。

働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)の交付申請書は、計画内容を具体的に

交付申請書は、中小企業の労働時間を改善するために、具体的な取り組みを記載した書類です。
申請書類には、取り組みの項目ごとに、実施時期や対象者数、導入機器数などの計画の概要が把握できるよう、できるだけ具体的に記入しましょう。

働き方改革推進支援助成金(職場意識改善特例コース)の交付申請書も計画内容を具体的に

交付申請書は、中小企業の有給休暇の取得や、所定外労働の削減の取り組みや、目的を記載した書類です。申請書類には、取り組みの項目ごとに、実施時期や対象者数、導入機器数などの計画の概要が把握できるよう、できるだけ具体的に記入しましょう。

働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)の交付申請書は、具体的な事業目的を記載

交付申請書は、中小企業事業主の団体や、その連合団体が、所属する事業主の会社の労働条件を改善するための取り組みを記載した書類です。具体的な取り組みとしては、セミナーの開催や、巡回指導、相談窓口の設置などです。申請書類には、実施する事業の必要性や目的を具体的に記入しましょう。

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)の交付申請書は、費用の内訳に注意

交付申請書は、テレワークを行うために必要な取り組みを記載した書類です。申請書類には、実施時期や対象者数、テレワーク推進のための導入機器数などの計画の概要が把握できるよう、できるだけ具体的に記入しましょう。また、取り組みにかかる費用の内訳は、実施期間中に実際に負担する料金のみを記入しましょう。

書き方が分からないときは厚生労働省のWebサイトで様式や例文の確認を

申請書類のテンプレートは、厚生労働省のWebサイトからダウンロードすることができます。テンプレートでは、様式や例文を確認できるので、どう書いていいのか分からないという方は、例文を参考にして、申請書類を作成しましょう。

まとめ

事前に提出する申請書類は、記入方法にちょっとしたコツが必要になる場合があります。助成金を確実に受給したいという方は、社会保険労務士に申請書類の書き方のアドバイスを求めてはいかがでしょうか。記入例などを参考にすることで、助成金の審査が通る可能性が高まるはずです。

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