助成金ノウハウ情報

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)は賃金アップで受給可能に。3つの増額方法を紹介

キャリアアップ助成金は労働者の処遇改善や待遇改善を目的とした助成金です。中でも賃金規定等改定コースは有期雇用の労働者の基本給をアップした場合に支給される助成金です。賃金規定等改定コースの支給額や支給の条件に加え、助成金を増額できる方法も紹介します。

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の支給額は、基本給をアップした労働者の人数で決まる

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の支給額は、有期雇用の労働者の賃金規定などを増額するように改定し、増額した人数によって決まります。

一部の労働者の賃金を増額した場合でも支給の対象に

支給額は、対象となる労働者の数により、以下の表のように決まります。対象となる労働者は、すべての労働者の賃金を増額した場合だけでなく、雇用形態別や職種別など、一部の労働者の賃金を増額した場合でも、支給の対象となります。支給の対象は、1事業所当たり、最大で100人までです。支給額は、中小企業か中小企業以外かで異なります。

なお、支給の対象となる人数が10人までの場合、支給額は3人まで、6人まで、10人までと区分されます。増額する労働者を3人で検討している場合は、4人で申請することをお勧めします。

すべての有期契約労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定した場合の支給額
中小企業 中小企業以外
対象労働者 支給額 通常の場合 生産性向上が認められる場合 通常の場合 生産性向上が認められる場合
1-3人 1事業所あたり 95,000円 120,000円 71,250円 90,000円
4-6人 1事業所あたり 190,000円 240,000円 142,500円 180,000円
7-10人 1事業所あたり 285,000円 360,000円 190,000円 240,000円
11-100人 1人あたり 28,500円 36,000円 19,000円 24,000円

 

一部の有期契約労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定した場合の支給額
中小企業 中小企業以外
対象労働者 支給額 通常の場合 生産性向上が認められる場合 通常の場合 生産性向上が認められる場合
1-3人 1事業所あたり 47,500円 60,000円 33,250円 42,000円
4-6人 1事業所あたり 95,000円 120,000円 71,250円 90,000円
7-10人 1事業所あたり 142,500円 180,000円 95,000円 120,000円
11-100人 1人あたり 14,250円 18,000円 9,500円 12,000円

 

中小企業の分類
産業分類 資本金の額・出資の総額 常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

 

生産性要件を満たした場合に、受給額が増額される

生産性要件とは、生産性を高める取り組みを支援するために、生産性を向上させた会社へ支給する助成金の金額を割増する制度です。生産性要件が適用される条件は、次のいずれかになります。

  • 助成金の支給申請を行う直近の会計年度における生産性が、その3年度前に比べて6%以上伸びていること
  • 助成金の支給申請を行う直近の会計年度における生産性が、その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)で生産性要件が適用された場合、中小企業であれば最大で360万円を受給することができます。

「助成金が増える生産性要件とは? 利用の条件や受給額が増える助成金を紹介」を詳しく見る

中小企業が賃金規定などを改定し、3%以上増額した場合は受給額がさらに増える

中小企業が賃金規定を改定し、3%以上増額した場合、助成額がさらに増えます。労働者すべての賃金規定等改定を実施した場合は、1人当たり14,250円(生産性要件を満たした場合は18,000円)、労働者の一部の賃金規定等改定を実施した場合は1人当たり7,600円(生産性要件を満たした場合は9,600 円)が支給されます。

職務評価を実施し、賃金規定などを増額改定した場合も増額に

職務評価を実施し、その結果を踏まえて賃金規定などを増額改定した場合にも、助成金がさらに増額されます。この増額が適用されるのは、労働者1人当たりではなく、1事業所当たりで、1回だけです。中手企業の場合は1事業所当たり19万円(生産性要件を満たした場合は24万円)、中小企業以外の場合は142,500円(生産性要件を満たした場合は18万円)が支給されます。

職務評価とは、社内の職務や役割の大きさを把握する手法

職務評価とは、職務内容や責任の程度を相対的に比較し、その職務に従事する労働者の待遇が職務の大きさに応じたものとなっているか、現状を把握することをいいます。なお、職務評価は、個々の労働者の仕事ヘの取り組み方や能力を評価する、人事評価や能力評価とは異なります。職務評価の方法は4つあり、単純比較法、分類法、要素比較法、要素別点数法のいずれかを選べます。

  • 単純比較法
    社内の業務を細かく分解せず、全体としてとらえて、従業員を1対1で比較する方法
  • 分類法
    社内で基準となる職務を選び、職務レベル定義を作って、職務がどのレベルか判断する方法
  • 要素比較法
    職務の構成要素別にレベルの内容を定義したうえで、職務を要素別に分解し、どのレベルか判断する方法
  • 要素別点数法
    職務を構成要素ごとに点数化し、点数の合計点で職務の大きさを評価する方法

正規雇用だけでなく、有期雇用や無期雇用にも職務評価を行うことで雇用形態による不平等さが改善され、労働者のモチベーションアップにもつながります。

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の対象になる条件は労働者・事業主それぞれにある

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の支給対象となる条件は、労働者と事業主それぞれにあります。

対象になる労働者の条件は6項目

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の支給対象になる労働者の条件は、次の6項目です。

  • 労働協約または就業規則に定めるところにより、その雇用するすべてまたは一部の有期雇用の労働者などに適用される賃金に関する規定または賃金テーブルを増額改定した日の前日から起算して3カ月以上前の日から増額改定後6カ月以上の期間継続して、支給対象事業主に雇用されている有期雇用の労働者などであること
  • 増額改定した賃金規定等を適用され、かつ、増額改定前の基本給に比べて2%以上昇給している者(中小企業において3%以上増額改定し、助成額の加算の適用を受ける場合にあっては、3%4以上昇給している者)であること。最賃法第14条および第19条に定める最低賃金の効力が生じた日以降に賃金規定等を増額した場合、当該最低賃金に達するまでの増額分は含めない
  • 賃金規定等を増額改定した日の前日から起算して3カ月前の日から支給申請日までの間に、合理的な理由なく基本給や定額で支給されている諸手当を減額されていない者であること
  • 賃金規定等を増額改定した日以降の6カ月間、当該対象適用事業所において、雇用保険被保険者であること
  • 賃金規定等の増額改定を行った事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外のものであること
  • 支給申請日において離職していない者であること
    ※本人の都合による離職および天災その他やむを得ない理由のために事業の継続が困難となったことまたは本人の責めに帰すべき理由による解雇を除く

対象になる事業主の条件は8項目

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の支給対象になる事業主の条件は、次の8項目です。

  • 有期雇用の労働者などに適用される賃金規定等を作成している事業主であること
  • すべてまたは一部の賃金規定等を2%以上増額改定(新たに賃金規定等を整備し、当該賃金規定等に属するすべてまたは一部の有期雇用の労働者などの基本給を、整備前に比べ2%以上増額する場合を含む)し、当該すべてまたは一部の賃金規定等に属する有期雇用の労働者などに適用し昇給させた事業主であること
  • 増額改定前の賃金規定等を、3カ月以上運用していた事業主であること(新たに賃金規定等を整備する場合は、整備前の3カ月分の有期雇用の労働者などの賃金支払状況が確認できる事業主であること)
  • 増額改定後の賃金規定等を6カ月以上運用し、かつ、定額で支給されている諸手当を減額していない事業主であること
  • 支給申請日において当該賃金規定等を継続して運用している事業主であること
  • 中小企業において3%以上増額改定し、助成額の加算の適用を受ける場合にあっては、2016年8月24日以降、当該すべてまたは一部の賃金規定等を3%以上増額改定(新たに賃金規定等を整備し、当該賃金規定等に属するすべてまたは一部の有期雇用の労働者などの基本給を、整備前に比べ3%以上増額する場合を含む)し、当該賃金規定等に属するすべてまたは一部の有期雇用の労働者などに適用し昇給させた中小企業事業主であること
  • 職務評価を経て賃金規定等改定を行う場合にあっては、雇用するすべてまたは一部の有期雇用の労働者などを対象に職務評価を実施した事業主であること
    ※職務評価の手法については、「単純比較法」、「分類法」、「要素比較法」、「要素別点数法」のいずれかの手法を用いても構わない。ただし、「単純比較法」または「分類法」による「職務評価」の手法を使う場合、職務分析(仕事を「職務内容」や「責任の程度」などに基づいて整理し、職務説明書に整理すること)を行うことが必要になる
  • 生産性要件を満たした場合の支給額の適用を受ける場合にあっては、当該生産性要件を満たした事業主であること

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)を受給するまでの5つのステップ

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の申請で注意すべきポイントは、受給申請の前にキャリアアップ計画書を労働局に提出しなければならないことです。また、支給申請の期限は、増額改定後6カ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して、2カ月以内です。

キャリアアップ助成金(賃金規定等改訂コース)の流れ

キャリアアップ助成金(賃金規定等改訂コース)を活用する前に提出が必要な書類はキャリアアップ計画

キャリアアップ計画は、労働者のキャリアアップのために活用するコースや、期間などの計画、期間中に達成する目標や、目標達成のための施策を記載する書類です。キャリアアップ計画の内容は、しっかりと精査されるので、綿密な計画の立案が必要です。労働者のキャリアアップを支援するキャリアアップ管理者が、3年以上5年以内の計画期間を定め、どのような目的を立てて、その目的を達成するために行う、具体的な施策を記入しましょう。

キャリアアップ助成金(賃金規定等改訂コース)の支給申請に必要な書類は10種類

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の支給申請に必要な書類は、次の10種類です。

  • 支給要件確認申立書
  • 支払方法・受取人住所届
  • 管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画書
  • 賃金規定等が規定されている労働協約または就業規則
  • 増額改定前および増額改定後の賃金規定等
  • 対象労働者の増額改定前および増額改定後の雇用契約書等
  • 対象労働者の労働基準法第108条に定める賃金台帳または船員法第58条の2に定める報酬支払簿
  • 対象労働者の出勤簿等
  • 中小企業事業主である場合、中小企業事業主であることを確認できる書類
  • 生産性要件に係る支給申請の場合の添付書類

提出書類の「賃金規定等」とは、賃金規定に限らない

支給申請に必要な書類の中で、「増額改定前および増額改定後の賃金規定等」という書類があります。この「賃金規定等」とは、賃金規定という書類に限らず、就業規則や労働協約において賃金一覧表などの、賃金額の定めがあれば「賃金規定等」に該当します。
就業規則を新たに作成した場合でも、過去3カ月の賃金実態からみて、2%以上増額していることが確認できれば助成の対象になります。なお、事業主の中には、申請期限間際になって、2%以上増額になるよう慌ててボーナスを支給するケースも見られますが、賃金規定に記載がなければ、認められない場合が多いので、賃金規定の改定は計画的に行いましょう。

職務評価を実施し、賃金規定などを増額改定した場合は2つの書類を提出

職務評価を実施し、その結果を踏まえて賃金規定などを増額改定した場合は、支給申請の際に次の書類を追加で提出します。

  • 職務評価を実施したことが分かる書類
  • 職務評価結果を踏まえ賃金規定等を改定したことが分かる書類

まとめ

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)は有期雇用の労働者の賃金をアップし、職務評価を行うことで増額できる助成金です。職務評価を行うことで、適正に仕事内容を評価し、待遇に対して合理的な説明ができなるので、有期雇用の労働者のモチベーションアップにつながり、生産性の向上も期待できます。

皆さんは、パートタイム・有期雇用労働法が改正されることをご存知でしょうか。改正によって、中小企業以外は2020年4月から、中小企業は2021年4月から、正規雇用と非正規雇用の待遇差を解消するか、待遇差について合理的な説明ができる体制を整えなければなりません。今から法改正に備えて取り組みを始めることで、キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)を受給でき、職務評価を行うことで増額も可能になるので、今から申請に向けて準備を始めてはいかがでしょうか。時間が取れないという方は、申請書類の作成がスムーズにできる助成金クラウドをご活用ください。

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