人手不足を解消するために正社員を採用したり、今いる有期雇用社員を正社員化したいと考える企業は多いですが、人件費や経費がネックになっている企業も多いのではないでしょうか。この記事では、正社員採用や正社員化にあたり人件費や経費を助けてくれる助成金を紹介します。
目次
正社員の中でも、多様な働き方が認められるように
正社員とは法律上の用語ではないため定義はなく、正規雇用の労働者と呼ばれる労働形態の方を、いわゆる正社員として呼んでいます。それでは正規雇用とはどのような条件を満たす労働者なのでしょうか。
厚生労働省では正規雇用の主な条件を、労働契約の期間の定めがなく、所定労働時間がフルタイムであり、直接雇用である者としています。政府が進める働き方改革によって、次に紹介する多様な正社員のあり方も認められるようになり、助成金の支給対象にもなっています。
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- 勤務地限定正社員
転勤するエリアが限定されていたり、転居を伴う転勤がなかったり、あるいは転勤が一切ない正社員
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- 職務限定正社員
担当する職務内容や仕事の範囲が他の業務と明確に区別され、限定されている正社員
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- 勤務時間限定正社員
所定労働時間がフルタイムではない、あるいは残業が免除されている正社員
多様な正社員のあり方を認めることで、ワーク・ライフ・バランスを実現でき、優秀な人材を確保できるだけではなく、生産性や定着率の向上にもつながります。
正社員を新規採用することに活用できるおすすめの助成金
正社員を新規採用することに活用できるおすすめの助成金を4つ紹介します。
事業縮小で離職した労働者を早期に雇入れた場合に受給できる助成金
労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)
労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)は、事業の縮小や廃業によって、離職を余儀なくされた労働者を、離職日の翌日から3カ月以内に雇入れた事業主に支給されます。支給対象となる労働者は、再就職援助計画か求職活動支援書の対象で、雇用されていた事業主の事業所へ復帰する見込みがない方です。
なお、再就職援助計画、求職活動支援書は、厚生労働省による労働者の再就職支援のための制度の1つです。事業縮小による離職のため、能力のある労働者や業界の知識がある労働者を雇い入れることも可能です。支給額は1人当たり30万円で、最大500人まで申請が可能です。
正規雇用の機会に恵まれなかった方を雇用した場合に受給できる助成金
特定求職者雇用開発助成金(安定雇用実現コース)
特定求職者雇用開発助成金(安定雇用実現コース)は、ロスジェネ世代などいわゆる就職氷河期に正規雇用の機会を逃した35歳から60歳未満の方を雇用する事業主に支給される助成金です。
助成金の受給要件は、十分なキャリアが形成できず、就労が困難な方をハローワークや民間の職業紹介事業者などを通じて雇入れることです。支給額は、中小企業か中小企業以外かで異なります。中小企業の場合は、1人当たり半年ごとに30万円ずつ、1年で合計60万円が支給されます。
働き方改革を推進する企業が新たに労働者を雇用した場合に受給できる助成金
人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)
人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)は、働き方改革に取り組む中小企業が新たに労働者を雇い入れ、人材配置の変更、労働者の負担軽減などの雇用管理改善に取り組んだ事業主に支給される助成金です。
なお、受給要件の1つに、働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース、勤務間インターバル導入コース、職場意識改善コース)の支給を受けた中小企業の事業主であることが含まれています。つまり、一つの取り組みで重複して受け取れる助成金ということになります。
支給額は計画達成助成と目標達成助成があり、雇入れた労働者が正社員か、週所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者かによって変わります。フルタイムの正社員であり、計画達成助成と目標達成助成両方を達成した場合、労働者1人当たり75万円、最大10名まで支給されます。
再就職の希望者を採用することで受給できる助成金
両立支援等助成金(再雇用者評価処遇コース)
両立支援等助成金(再雇用者評価処遇コース)は、妊娠や出産、育児、介護を理由に退職した方が、また働ける状況になった際に再雇用する制度を導入し、実際に復職させた事業主に支給される助成金です。退職された方は、すでに知識や能力がある方なので、即戦力としての活躍が期待できます。
支給額は、再雇用者の人数によって異なります。また、中小企業か中小企業以外か、生産性要件を満たしたか否かによっても変わります。生産性要件を満たした中小企業で、1人目を再雇用し、1年間継続雇用した場合の支給額は48万円です。
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パートやアルバイトの正社員化に活用できる助成金
正社員を新たに採用するのではなく、在籍している有期雇用や無期雇用のパートやアルバイト、契約社員などを正規雇用に転換することで、正社員を確保する方法もあります。
すでに一定のスキルがある有期雇用の労働者を正規雇用に転換することができ、採用コストも抑えることができます。以下その代表格をご紹介します。
非正規雇用から正規雇用への切り替えで受給できる助成金
キャリアアップ助成金(正社員化コース)
キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、有期雇用の労働者を無期雇用や正規雇用に転換したり、無期雇用の労働者を正規雇用に転換する事業主に支給される助成金です。
現在働いている労働者を正社員化するため、事業主も労働者も互いにスキルや職場の雰囲気などを理解しているため、採用のミスマッチが起こりません。労働者にとっては、正社員として働くことで、労働者にとっては、雇用期間がなく、待遇もよくなるので、安心して働くことができます。
支給額は雇用時の労働形態が有期雇用か無期雇用か、転換後の労働形態が無期雇用か正規雇用かによって異なります。また、中小企業か中小企業以外か、生産性要件を満たしたか否かによっても変わります。
生産性要件を満たした中小企業で、有期雇用の労働者を正規雇用に転換した場合、1人当たり72万円、1年間で最大20人まで支給されます。
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正規雇用への切り替えで東京都から受給できる助成金
東京都正規雇用等転換安定化支援助成金
東京都正規雇用転換安定化支援助成金は、東京労働局管内に事務所がある事業主を支給対象とした助成金です。受給要件には、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給が決まった中小企業の事業者であることで、実質キャリアアップ助成金の上乗せとして支給されます。
本社の所在地が東京都以外にあっても、雇用保険が適用される事業所が都内にあり、労働者の就労場所も都内であれば支給されます。支給額は1人当たり20万円、最大3人まで支給されます。また、新たに退職金制度を整備した事業主には、10万円が支給されます。
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まとめ
正社員の採用に力を入れている事業主にとって、助成金の中でも受給のハードルが低く、採用人数が増えれば増えるほど助成金の受給額が増える、正社員に活用できる助成金を受給しない手はありません。
1つの助成金を受給できれば、別の助成金も併せて受給できる併給が可能な助成金もあります。正社員採用に活用できる助成金の受給に、すぐにでも取り組んでみてはいかがでしょうか。
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