助成金ノウハウ情報

NPO法人で活用できる助成金【2020年最新版】採用や雇用、研修・訓練の実施で受給可能に

NPO法人は特定非営利活動を行う団体ですが、有給の労働者を雇用してるNPO法人であれば、雇用関係の助成金を活用することができます。この記事では、特にNPO法人の課題である制度改善や、採用や雇用、研修や訓練に活用できる助成金を紹介します。

NPO法人とは、社会貢献活動を行う特定非営利活動法人

NPOとは、Non-ProfitOrganization、もしくは、Not-for-ProfitOrganizationの略称です。様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し、収益を分配することを目的としない団体を指します。

NPOの団体を法人として登記すると、収益を目的とした事業も行うことができます。そうしたNPO法人で働いている方の中には、有給の労働者も含まれているため、雇用保険を適用していれば、厚生労働省が用意している雇用に関連した助成金の支給対象になります。

NPO法人が抱える課題は、人手不足と研修や訓練制度の未整備

内閣府がまとめた、特定非営利活動法人に関する実態調査報告書によると、NPO法人が抱える課題として、人材の確保や教育を挙げるNPO法人が6割強に上ります。また、中小企業庁がまとめた、NPOなど新たな事業・雇用の担い手をめぐる現状と課題によると、人材の確保や教育が課題となっている原因は、「キャリアパスが不安」だと感じている方がいること、「担い手とコーディネーターを育てるために、セミナーやイベントでは不十分」なことを指摘しています。

優秀な人材を確保するためには、一般的な会社と同じように働きやすい職場づくりや、研修制度を整える取り組みが求められます。こうした取り組みを支援する助成金が用意されているので、NPO法人も積極的に活用しましょう。

NPO法人で採用や雇用に活用できるおあすすめの助成金

NPO法人も一般の企業と同じく助成金を活用することができます。若年労働力の確保のため、若年層の採用に使える助成金を紹介します。

非正規雇用から正規雇用への切り替えで受給できる助成金
キャリアアップ助成金(正社員化コース)

キャリアアップ助成金(正社員化コース)は文字通り正社員化を助成する助成金です。有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換するか、直接雇用した場合に支給されます。転換後の正規雇用は勤務地限定正社員や職務限定正社員、短時間正社員など多様な正社員であっても対象となります。

転換前と転換後の雇用形態により支給金額が変わります。また、中小企業か否か、生産性要件を満たしたか否かでも支給金額が変わります。有期雇用契約から正規雇用に転換した場合、中小企業であって生産性要件を満たした場合は1人当たり72万円が支給され、上限の20人分が支給された場合は1440万円になります。

「キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給額は最大1440万円!受給要件や申請手順を紹介」を詳しく見る

正規雇用への切り替えで東京都から受給できる助成金
東京都正規雇用等転換安定化支援助成金

東京都正規雇用等転換安定化支援助成金は、東京都限定の助成金です。上記のキャリアアップ助成金(正社員化コース)が支給された都内の事業主にさらに加算して助成金を支給します。東京都に雇用保険適用の事業場があった場合対象となり、他の場所に本社がある場合でも、事業場が都内にあれば、事業場単位で申請が可能です。

対象労働者の人数により支給金額が変わり、1人の場合20万円、2人では40万円、3人以上では60万円が支給されます。また、退職金制度を整備した場合、1事業主あたり1回10万円を加算します。

「東京都正規雇用等転換安定化支援助成金の支給対象は500事業所まで」を詳しく見る

一定期間のお試し雇用で受給できる助成金
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)ではトライアル雇用を行った事業主に助成金が支給されます。トライアル雇用とは、職業経験の不足などから就職が困難である求職者を原則3カ月間適性や能力を見極める期間として雇用する制度です。

一般に設けられる試用期間ではミスマッチが起こった場合でも簡単に解雇はできませんが、トライアル雇用では能力や適性が合わない場合、トライル雇用終了時に契約を終了し、常用雇用に移行しないことができます。

NPO法人は社会貢献活動を行う法人であることから、求職者と事業主がお互いに目的である社会貢献への意識や適性の見極めができるトライアル雇用は有効な制度です。支給金額は最長3カ月間、月額最大4万円が支給されます。

「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)は、採用のミスマッチを防いで助成金も受給できる一石二鳥の助成金」を詳しく見る

NPO法人で研修や訓練に活用できる助成金

NPO法人の課題として、採用や定着が進まない人手不足に加え、人材の育成が課題となります。せっかく採用した人材でも、能力を伸ばす機会がなければ長く安心して働き続けるビジョンが描けません。ここでは、研修や訓練を行う際に使える助成金を紹介します。

特定の訓練を行うことで受給できる助成金
人材開発支援助成金(特定訓練コース)

人材開発支援助成金(特定訓練コース)は、7つの特例訓練を助成するコースです。

  • 労働生産性向上訓練
  • 若年人材育成訓練
  • 熟練技能育成・承継訓練
  • グローバル人材育成訓練
  • 特定分野認定実習併用職業訓練
  • 認定実習併用職業訓練
  • 中高年齢者雇用型訓練

このうち、1~4はOff-JTを助成するもので、5~7は雇用型訓練と呼ばれ、OJTとOff-JTを組み合わせた訓練を助成します。NPO法人においてはどれも使える訓練です。支給の対象は労働者の賃金や経費の一部で、支給額は1人当たり最大50万円、1事業所当たりでは最大1000万円です。

「人材開発支援助成金(特定訓練コース)の支給額は最大1000万円」を詳しく見る

特定訓練コース以外の訓練を行うことで受給できる助成金
人材開発支援助成金(一般訓練コース)

人材開発支援助成金(一般訓練コース)は訓練にかかる経費や賃金を助成するコースです。対象となる訓練はOff-JTに限られ、Off-JTにより実施される20時間以上の訓練に限られます。また、特定訓練コースに指定された7つの訓練に当てはまらない訓練が対象になります。

訓練の対象者は雇用保険の被保険者であればだれでも対象となります。特別な要件として、セルフキャリアドックを対象時期を明記して規定することが必要です。セルフキャリアドックとは、従業員の主体的なキャリア形成促進のために、定期的なキャリアコンサルティングを行う仕組みです。

キャリアが描きづらいNPO法人で働く従業員にとって、専門家とキャリアコンサルティングを行える機会は貴重で、長く働き続けるモチベーションとなります。

助成される金額は訓練をうける従業員の訓練中の賃金とかかった経費の一部で、従業員一人当たり最大20万円、企業の上限額は最大1,000万円です。

「人材開発支援助成金(一般訓練コース) は、適用の範囲が広がった助成金」を詳しく見る

有期雇用労働者の研修で受給できる助成金
人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)

人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)は有期契約労働者等を対象とした助成金です。正規雇用労働者等に転換、または処遇を改善することを目的に実施する訓練を助成します。

Off-JTでの訓練か、Off-JTとOJTを組み合わせた訓練が対象で、職業訓練だけではなく、中長期的なキャリアを築くための研修や、正社員への転換を目指す訓練などがあります。

ただし研修内容は厳しい審査があり、助成金対象として提供されている研修でも助成金が支給されないこともあるため、対象となる研修かどうかは労働局に確認してから実施しましょう。

キャリアを描きづらいと考えている有期契約労働者に訓練をうけさせ、長期的に働いてくれる人材に育てる際、役に立つ助成金です。支給金額は賃金助成と経費助成、実施助成の3種類があり、最大で1,000万円が支給されます。

「人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)は有期雇用の労働者の研修で最大1000万円を受給できる」を詳しく見る

休暇を活用した訓練を行うことで受給できる助成金
人材開発支援助成金(教育訓練休暇付与コース)

人材開発支援助成金(教育訓練休暇付与コース)は数日間の教育訓練休暇制度や、数カ月以上の長期訓練休暇制度を導入する際に活用できる助成金です。

数日間の場合、年次有給休暇とは別の有給の休暇制度である必要があり、長期休暇の場合は無給でも構いませんが120日以上の休暇が必要です。能力向上に意欲的な労働者がいた場合、休暇を付与し、能力開発の機会を与えることで、労働者の成長がNPO法人での活動にも還元されます。

支給金額はかかった経費が助成され、数日間の休暇制度か、長期訓練休暇の違い、また生産性要件を満たすか否かで変わります。さらに、長期教育訓練の場合は賃金も助成されます。

「人材開発支援助成金(教育訓練休暇付与コース)は、休暇を利用した訓練で受給可能に」を詳しく見る

まとめ

NPO法人が活用できる、雇用に関連した助成金を紹介しましたが、このほかにもNPO法人が活用できる助成金や補助金があります。こうした助成金や補助金は、厚労省以外の官公庁や地方自治体、組織や団体がいくつも用意しているので、ぜひ活用してください。

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