助成金ノウハウ情報

旅行業に活用できる助成金【2020年最新版】労働環境の改善や女性・高齢者の活用へ

旅行業では、労働環境の改善によって離職率を下げる取り組みや、労働力を確保するために、多様な人材の採用や雇用が求められています。そこで、旅行業で制度改善に活用できる助成金や、女性や高齢者の採用や雇用に活用できる助成金を紹介します。

目次

働き方改革・休み改革を業界団体が推進

日本旅行業協会では、2018年より働き方・休み方改革を掲げ、長時間労働の改善や女性や高齢者など、多様な人材を活用する企業を表彰しています。このような表彰制度を、業界団体が立ち上げなければならないほど、旅行業の企業は働き方改革が求められているのが現状です。

労働環境の改善で受給できる助成金

労働時間を削減する、休息時間を確保する、有給が取りやすくするといった、労働環境を改善することで受給できる助成金は7つあります。

労働時間の削減で受給できる助成金
働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)は、長時間労働の見直しのため、働く時間の縮減に取り組む中小企業事業主に、厚生労働省が支給します。助成金の金額は、最大200万円です。

助成金の金額は、目標設定した時間外労働の時間や休日の日数、助成金の対象にな経費の額によって異なります。この助成金の受給ができると、人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)を上乗せとして申請することができます。

「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)は労働環境の改善と採用のアピールにもつながる助成金」を詳しく見る

休息時間の確保で受給できる助成金
働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバール導入コース)

働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバール導入コース)は、健康保持や過重労働防止の取り組みを支援する助成金です。この助成金は、勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設け、働く方の生活時間や睡眠時間を確保する事業主に、厚生労働省が支給します。

助成金の金額は、最大100万円です。助成金の金額は、休息時間数や新規の取り組みかどうかで異なります。

「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバール導入コース)は、休息時間の確保で支給される助成金」を詳しく見る

コロナ対策の特別休暇の取得促進で受給できる助成金
働き方改革推進支援助成金(職場意識改善特例コース)

働き方改革推進支援助成金(職場意識改善特例コース)は、もともとは、改正労働基準法の対応に取り組む事業主を支援するものでした。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中、特例コースとして名称を変更し、特別休暇制度を新たに整備の上、特別休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業を支援する助成金になりました。

働き方改革推進支援助成金(職場意識改善特例コース)の支給額は、特別休暇を就業規則に規定することに向けて、支給対象となる取り組みにかかった費用の4分の3です。なお、助成金の上限は50万円です。

「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)はテレワークの経費を最大300万円まで支給」を詳しく見る

働き方改革に取り組む中小企業が受給できる助成金
人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)

2019年に新設された人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)は、働き方改革に取り組む上で、人材を確保することが必要な中小企業を支援する助成金です。この助成金は、働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース、勤務間インターバル導入コース、職場意識改善コース)の支給を受けた中小企業が受給できます。

助成金は計画を達成したときと、目標を達成したときの2回受給することができ、助成金の金額は最大で75万円です。

出産した女性が働き続けることができる環境づくりに活用できる助成金

出産や育児が原因で、女性の労働者が離職しないように、安心して働き続けることができる職場環境づくりに活用できるおすすめの助成金を紹介します。

男性が育児休業を取りやすい環境づくりで受給できる助成金
両立支援等助成金(出生時両立支援コース)

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は、いわゆるイクメンを推進する企業に支給される助成金です。男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りに取り組み、男性労働者にその養育する子の出生後8週間以内に開始する育児休業を利用させた事業主及び育児目的休暇を導入し男性労働者に利用させた事業主に、厚生労働省が支給します。

助成金の金額は1事業所当たり最大228万5000円です。なお、助成金の金額は、中小企業か中小企業以外かで異なります。また、育児目的休暇の導入・利用や、育休取得が1人目から2人目以降かでも異なります。

「両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は、男性の育休取得の推進で助成金を支給」を詳しく見る

育児休業後に職場復帰しやすい環境づくりで受給できる助成金
両立支援等助成金(育児休業等支援コース)

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)は、働き続けながら子の養育を行う労働者の雇用の継続を図るため、育児休業の円滑な取得及び職場復帰に資する取り組みを行った中小企業事業主に、厚生労働省が支給します。助成金の金額は、1人当たり最大47万5000円です。

なお、助成金の金額は、育休取得時、職場復帰時、職場支援加算(職場復帰時に加算して支給)、代表要員確保時、有期契約労働者の場合の加算、職場復帰後支援によって異なります。

「両立支援等助成金(育児休業等支援コース)は職場復帰支援でも支給される助成金」を詳しく見る

再就職の希望者を採用することで受給できる助成金
両立支援等助成金(再雇用者評価処遇コース)

両立支援等助成金(再雇用者評価処遇コース)は、妊娠、出産、育児、介護又は配偶者の転勤を理由として退職した者が就業できるようになったときに復職する際、従来の勤務経験、能力が適切に評価され、配置・処遇がされる再雇用制度を導入し、再雇用を希望する旨の申出をしていた者を採用した事業主に、厚生労働省が支給します。

助成金の金額は、1人当たり最大38万円です。なお、助成金の金額は、中小企業か中小企業以外かで異なります。また、再雇用が1人目か2人目かによっても異なります。

「両立支援等助成金(再雇用者評価処遇コース)で助成金と即戦力、働きやすい環境を獲得」を詳しく見る

高齢者の雇用や採用で活用できる助成金

人手不足を解消する方法の1つとして、働く意欲のある高齢者の採用や雇用への取り組みが挙げられます。高齢者の雇用や採用に活用できる、おすすめの助成金を紹介します。

定年の廃止等で支給される
65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)

65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)は定年制度に関する助成金です。主な要件として、定年の廃止、定年年齢の引き上げ、希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用のいずれかを導入した場合支給されます。

支給金額は定年の引き上げ幅、60歳以上の雇用保険被保険者数によって変わります。最大では、定年を廃止し60歳以上の被保険者数が10人以上の場合160万円が支給されます。

高年齢者の福利厚生など雇用管理制度を整備して支給される
65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)

65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)は高年齢者向けの雇用管理制度等の経費を助成する助成金です。若年労働者と同じ評価制度や勤務形態では、高年齢者の能力が十分に発揮できないかもしれません。高年齢者向けの評価制度や人事処遇制度、希望に応じた短時間勤務制度や隔日勤務制度など、高年齢者が意欲と能力を発揮できる環境づくりが大切です。

支給金額は中小企業主か否か、生産性要件を満たしたか否かで変わります。生産性要件を満たした中小企業の場合、雇用管理制度の導入や見直しのための専門家やコンサルタントの経費の75%が助成されます。

50歳以上の有期契約労働者を無期雇用に転換して支給される
65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)

65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)は50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換させた場合助成される助成金です。50歳以上の労働者を無期雇用に転換することで、若手社員にとっても長く働けるビジョンが描けるメリットがあります。

支給額は中小企業か否か、生産性要件を満たしたか否かで変わります。中小企業であって生産性要件を満たした場合60万円が支払われます。

65歳以上の離職者を雇用した場合に支給される
特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)

特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)は65歳以上の離職者を1年以上継続して雇用する労働者として雇入れる場合に助成されます。ただし、ハローワークや民間の職業紹介書などの紹介によって雇入れることが必要です。

支給金額は中小企業か否か、週所定労働時間が30時間以上か、20時間以上30時間未満かによって変わります。中小企業であって週所定労働時間が30時間以上の場合、半年ごとに35万円ずつ、1年に渡って合計70万円が支給されます。

まとめ

日本人の国内・国外旅行者は増え続けているだけでなく、訪日外国人も右肩上がりで推移しています。旅行業の事業主にとっては需要に応えるためにも、採用や雇用を強化し、定着率を向上させる取り組みが求められています。この取り組みを進める上で、助成金を活用してはいかがでしょうか。

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