助成金ノウハウ情報

飲食業に活用できる助成金【2019年最新版】人手不足や労働環境が改善できる

飲食業が慢性的に抱える課題の1つ、人手不足を解消する取り組みを支援する助成金があります。今回は、飲食業の雇用や採用だけでなく、職場の環境改善にも活用できる、厚生労働省が提供する助成金を紹介します。

目次

飲食業の8割が人手不足を実感

帝国データバンクがまとめた、人手不足に対する企業の動向調査によると、飲食業は正規雇用、非正規雇用ともに人手不足だと回答する企業が多いことが分かります。飲食業で回答した企業のうち、正社員が不足しているという回答は60%、非正規雇用では80%にも上ります。このように、飲食業が人手不足に陥っているのは、大きく2つの原因が挙げられます。

人手不足の原因1給与水準が低い

飲食業が人手不足に陥っている原因の1つは、給与水準の低さです。厚生労働省がまとめた賃金構造基本統計調査によると、「宿泊業、飲食サービス業」の平均年収は275.1万円で、調査した11業種中で最下位でした。

このように飲食業の給与水準が低いのは、労働集約型の産業だからです。また、客数を読むことが難しいため、客数にかかわらず常に一定数のスタッフでシフトを組まなければなりません。人件費を圧縮することが難しく、営業利益率が低くなるため、飲食業の給与水準は低いのです。

人手不足の原因2労働環境が悪い

飲食業が人手不足に陥っているう1つの原因は、労働環境が悪いからです。厚生労働省がまとめた就労条件総合調査によると、「宿泊業、飲食サービス業」の年間休日数の平均は97.7日で、調査対象の16業種中でこちらも最下位でした。

給与水準が低く、休日も少ないことで、就職先として飲食業が避けられる中、人手不足を現場の労働者が補うことで、さらなる労働環境の悪化を招くという、負のスパイラルに陥っています。この負のスパイラルを断ち切るためには、給与水準を引き上げ、労働環境の改善に取り組むほかありません。厚生労働省が提供する助成金には、そうした事業主を支援するものがいくつも用意されています。

給与の引き上げで、受給できる助成金

飲食業では、アルバイトやパートなどの非正規雇用の労働者なくして、オペレーションを組むことは不可能です。アルバイトやパートを採用すためには、待遇改善は不可欠な取り組みです。まずは、労働者の給与を引き上げることで、受給できる助成金を紹介します。

このうち、キャリアアップ助成金はパート・アルバイトなど有期雇用の労働者を対象にした助成金で、人材確保等支援助成金は有期雇用、無期雇用どちらも対象としています。

パート・アルバイトの基本給アップで受給できる
キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)は、有期契約労働者等の基本給の賃金規定などを増額するように改定し、昇給した事業主に、厚生労働省が支給します。助成金の金額は、1事業所当たり最大360万円です。なお、助成金の金額は、中小企業か中小企業以外かで異なります。また、対象になる労働者の人数によっても異なります。

「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)は賃金アップで受給可能に。3つの増額方法を紹介」を詳しく見る

パート・アルバイトの職務に合わせた給料に変更で受給できる
キャリアアップ助成金(賃金規定等共通化コース)

キャリアアップ助成金(賃金規定等共通化コース)は、有期契約労働者等に関して正規雇用労働者と共通の職務などに応じた賃金規定などを新たに作成し、適用した事業主に、厚生労働省が支給します。助成金の金額は、中小企業か中小企業以外かで異なります。中小企業の場合は1事業所当たり57万円、中小企業以外の場合は42万7500円となっています。

「キャリアアップ助成金(賃金規定等共通化コース)は賃金テーブルの改善で受給」を詳しく見る

パート・アルバイトへの諸手当支給で受給できる
キャリアアップ助成金(諸手当制度共通化コース)

キャリアアップ助成金(諸手当制度共通化コース)は、有期契約労働者等に関して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設け、適用した事業主に、厚生労働省が支給します。助成金の金額は、中小企業か中小企業以外かで異なります。中小企業の場合は1事業所当たり38万円、中小企業以外の場合は28万5000円となっています。

「キャリアアップ助成金(諸手当制度共通化コース)は最大112万円が受給できる」を詳しく見る

人事評価制度と賃金制度を整備し、実施することで受給できる
人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)は、離職率を低下させるために、人事評価制度の整備を支援する助成金です。この助成金は、定期昇給以外の賃金制度を設けて、生産性の向上、賃金アップ、離職率の低下に取り組む事業主に、厚生労働省が支給します。助成金の金額は、人事評価制度を定めた場合に50万円、離職率の低下目標を達成した場合に80万円が支給されます。

「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)は人事評価の整備で最大130万円支給」を詳しく見る

労働環境の改善で受給できる助成金

労働時間を削減する、休息時間を確保する、有給だけでなく介護や育児のための休業を取りやすくするといった、労働環境を改善することで受給できる助成金は7つあります。

労働時間の削減で受給できる助成金
時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)

時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)は、長時間労働の見直しのため、働く時間の縮減に取り組む中小企業事業主に、厚生労働省が支給します。助成金の金額は、最大200万円です。なお、助成金の金額は、目標設定した時間外労働の時間や休日の日数、助成金の対象にな経費の額によって異なります。この助成金の受給ができると、人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)を上乗せとして申請することができます。

「時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)は労働環境の改善と採用のアピールにもつながる助成金」を詳しく見る

休息時間の確保で受給できる助成金
時間外労働等改善助成金(勤務間インターバール導入コース)

時間外労働等改善助成金(勤務間インターバール導入コース)は、健康保持や過重労働防止の取り組みを支援する助成金です。この助成金は、勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設け、働く方の生活時間や睡眠時間を確保する事業主に、厚生労働省が支給します。助成金の金額は、最大100万円です。

なお、助成金の金額は、休息時間数や新規の取り組みかどうかで異なります。この助成金の受給ができると、人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)を上乗せとして併給申請することができます。

「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバール導入コース)は、休息時間の確保で支給される助成金」を詳しく見る

有給休暇の取得推進や時間外労働の削減で受給できる助成金
時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)

時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)は、労働時間の削減や有給取得の促進の取り組みを支援する助成金です。この助成金は、生産性の向上など、環境整備に取り組む中小企業事業主に、厚生労働省が支給します。助成金の金額は、最大100万円です。なお、助成金の金額は、目標設定した年次有給休暇の取得や所定外労働の削減を、達成できたかどうかで異なります。

「時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)は労働時間削減や有給取得の取り組みの経費を最大100万円助成」を詳しく見る

パート・アルバイトを被保険者にすることで受給できる
キャリアアップ助成金(選択的適用拡大導入時処遇改善コース)

キャリアアップ助成金(選択的適用拡大導入時処遇改善コース)は、労使合意に基づく社会保険の適用拡大の措置により、有期契約労働者等を新たに被保険者とし、基本給を増額した事業主に、厚生労働省が支給します。

助成金の金額は、1事業所当たり最大276万円です。なお、助成金の金額は、中小企業か中小企業以外かで異なります。また、基本給の増額割合に応じても異なります。

「キャリアアップ助成金(選択的適用拡大導入時処遇改善コース)は社会保険の導入を助成」を詳しく見る

男性が育児休業を取りやすい環境づくりで受給できる助成金
両立支援等助成金(出生時両立支援コース)

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は、いわゆるイクメンを推進する企業に支給される助成金です。男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りに取り組み、男性労働者にその養育する子の出生後8週間以内に開始する育児休業を利用させた事業主及び育児目的休暇を導入し男性労働者に利用させた事業主に、厚生労働省が支給します。

助成金の金額は1事業所当たり最大228万5000円です。なお、助成金の金額は、中小企業か中小企業以外かで異なります。また、育児目的休暇の導入・利用や、育休取得が1人目から2人目以降かでも異なります。

「両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は、男性の育休取得の推進で助成金を支給」を詳しく見る

育児休業後に職場復帰しやすい環境づくりで受給できる助成金
両立支援等助成金(育児休業等支援コース)

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)は、働き続けながら子の養育を行う労働者の雇用の継続を図るため、育児休業の円滑な取得及び職場復帰に資する取り組みを行った中小企業事業主に、厚生労働省が支給します。

助成金の金額は、1人当たり最大47万5000円です。なお、助成金の金額は、育休取得時、職場復帰時、職場支援加算(職場復帰時に加算して支給)、代表要員確保時、有期契約労働者の場合の加算、職場復帰後支援によって異なります。

「両立支援等助成金(育児休業等支援コース)は職場復帰支援でも支給される助成金」を詳しく見る

働き方改革に取り組む中小企業が受給できる助成金
人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)

2019年に新設された人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)は、働き方改革に取り組む上で、人材を確保することが必要な中小企業を支援する助成金です。

この助成金は、時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース、勤務間インターバル導入コース、職場意識改善コース)の支給を受けた中小企業が受給できます。助成金は計画を達成したときと、目標を達成したときの2回受給することができ、助成金の金額は最大で75万円です。

人手不足を解消する雇用や採用の取り組みで受給できる助成金

有期雇用の労働者を正規雇用に転換したり、お試し雇用で適性を判断したりと、雇用の促進で人手不足を解消する事業主をサポートする助成金もあります。

非正規雇用から正規雇用への切り替えで受給できる助成金
キャリアアップ助成金(正社員化コース)

キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、正規雇用の促進を支援する助成金です。この助成金は、就業規則または労働協約などの制度を整え、無期雇用や正規雇用の労働者を増やした事業主に支給されます。

助成金の金額は、中小企業か中小企業以外かで異なります。また、有期雇用労働者を正規雇用した場合と無期雇用した場合、無期雇用労働者を正規雇用した場合によって異なり、最大で20人分、1440万円を受給することができます。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受給できた事業者の中で、東京労働局の管内に事業所を置く中小企業であれば、さらに東京都正規雇用等転換安定化支援助成金の受給を上乗せとして申請することができます。

事例として毎月50名のアルバイトを採用している飲食店経営の企業が、正社員登用制度を整え、毎月5名分のキャリアアップ助成金の申請を行っているなど、最も活用されている助成金のひとつでもあります。

「キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給額は最大1440万円!受給要件や申請手順を紹介」を詳しく見る

正規雇用への切り替えで東京都から受給できる助成金
東京都正規雇用等転換安定化支援助成金

東京都正規雇用等転換安定化支援助成金は、パートや契約社員、派遣労働者といった非正規から正規雇用に転換した労働者が安心して働き続けられるよう、労働環境を整備する事業者を支援する助成金です。この助成金は、キャリアアップ助成金(正社員化コース)を支給され、東京労働局の管内に事業所を置く中小企業に、東京都が支給します。

助成金の金額は、キャリアアップ助成金(正社員コース)の支給対象となった人数によって、支給額は増えます。支給額は対象となる労働者1人につき、20万円です。東京都下に事業所を持ち、キャリアアップ助成金の受給が決定したのなら、忘れずに申請しましょう。

「東京都正規雇用等転換安定化支援助成金の支給対象は500事業所まで」を詳しく見る

一定期間のお試し雇用で受給できる助成金
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)は、職業経験が無かったり、技能、知識などに課題があり、安定して働くことが困難な方の採用を支援する助成金です。この助成金は、ハローワークや職業紹介事業者などの紹介により、現在定職に就いてなかったり安定して働くことが困難な方を一定期間、試行雇用した事業者に、厚生労働省が支給します。

助成金の金額は、採用1人当たり月額4~5万円が支給されます。採用した方が母子家庭の母、または父子家庭の父の場合は、1人当たり月額5万円が支給されます。

「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)は、採用のミスマッチを防いで助成金も受給できる一石二鳥の助成金」を詳しく見る

再就職の希望者を採用することで受給できる助成金
両立支援等助成金(再雇用者評価処遇コース)

両立支援等助成金(再雇用者評価処遇コース)は、妊娠、出産、育児、介護又は配偶者の転勤を理由として退職した者が就業できるようになったときに復職する際、従来の勤務経験、能力が適切に評価され、配置・処遇がされる再雇用制度を導入し、再雇用を希望する旨の申出をしていた者を採用した事業主に、厚生労働省が支給します。

助成金の金額は、1人当たり最大38万円です。なお、助成金の金額は、中小企業か中小企業以外かで異なります。また、再雇用が1人目か2人目かによっても異なります。

「両立支援等助成金(再雇用者評価処遇コース)で助成金と即戦力、働きやすい環境を獲得」を詳しく見る

まとめ

今度、労働人口はますます減少していきます。特に、アルバイトやパートを採用するためには、事業主が待遇改善に取り組み、魅力を伝えていく必要があります。給与でアピールするのか、働きやすい職場環境でアピールするのか。いずれにしても、助成金の受給に取り組むことで、事業主は魅力を生み出すことができ、離職率の低減も期待できます。助成金の活用をぜひ検討してください。

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